現代のマンガの主人公に「ダメ人間」が急増している理由とは?

週プレNEWS / 2012年11月28日 15時0分

欠点だらけだけど、憎めない「ダメ人間」。情に欠けていたり、卑怯すぎたりと、共感しづらい「クズ人間」。そんな「ダメ&クズ」なキャラクターをフィーチャーしたマンガ作品を、最近よく見かけるようになった。

「統計はありませんが、僕の実感としては、そういったマンガは激増していると思います」というマンガ評論家の紙屋高雪氏は、その理由をこう推測する。

「近年、世間では『自己責任論』が猛威を振るっています。就職や受験といったものから、恋愛などの人間関係に至るまで、その人の能力にのみ結果の原因を求める風潮は『勝ち組』『負け組』という視線を生み出しました。そんななかで“負け組=ダメ人間”を正面から扱うマンガは読者に共感を呼んだり、『自分はここまでヒドくない』といった安心や、笑いを与えているのだと思います」

一方、マンガを作る現場の立場から、『ヤングアニマル』(白泉社)編集部の徳留幸輝氏は次のように説明する。

「昔から、面白いマンガを作るのに重要なのは“キャラ立ち”といわれていましたが、年間9000点もの新刊が出ているとされる今のマンガ界で、読者の目に留まるために、より一層、重視されてきているような気がしています」

さまざまなマンガ作品が発表されると同時に、多くのキャラクターも生まれてくる。熾烈な競争のなかで読者の目を引くために、新たな個性を持つキャラクター像が考えられているというワケだ。

「どんなジャンルのマンガにせよ、魅力的なキャラクターには欠点が必ずありました。なぜなら、その欠点こそが、読者の感情移入を誘うからです。“キャラ立ちがますます求められる時代”のなかで、魅力的なキャラクターを生み出すべく、数多のマンガ家や編集者がキャラクターに欠点を多く持たせたり、深く掘り下げた結果が、昨今のダメ人間ブームの根源にあるのではないでしょうか」

ちなみに、200人に聞いたアンケートでは、今年読んだマンガに出てくるダメ人間として『ONE PIECE』のウソップの名前がトップに。続いて『ドラえもん』ののび太の名前が挙げられていた。どうやら読者に好まれるのは、「愛すべきダメ人間」のタイプのようだ。

■週刊プレイボーイ50号「2012年 輝く!? マンガ ダメ&クズ人間大賞」より



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