今、漫画がバトル系中心の「熱い少年漫画」に回帰中

週プレNEWS / 2012年12月7日 12時0分

少年漫画の“王道”である「バトル漫画」は、漫画のジャンルが多様化した現在でも次々と人気作が生み出され続けている。しかし近年、これまでとはひと味違うバトル漫画が登場しつつある。

『このマンガがすごい!』(宝島社)のメインライターのひとりである、奈良崎コロスケ氏はこう語る。

「バトル漫画といえば『少年ジャンプ』ですが、長寿漫画がバトル系なので新しいバトル漫画が参入できない状況。しかし、最初はギャグで途中からバトルに……という漫画が増えています。その一方で、どちらかというとバトルのイメージが薄かった『少年サンデー』にバトル系が目立ってきたり、『月刊ヒーローズ』みたいな専門誌が創刊されたりと、漫画誌全体がバトル系中心の『熱い少年漫画』に回帰してる感がありますね」

そんななか、今年を代表するバトル漫画になりそうなのが『テラフォーマーズ』(『週刊ヤングジャンプ』連載中)。虫の遺伝子を組み込み強化された人間たちが、火星で異常進化した大量のゴキブリと戦う“虫系”のバトル漫画だ。

「虫はちょっと今ブームな気がします(笑)。『テラフォーマーズ』に『常住戦陣!!ムシブギョー!! 』(『週刊少年サンデー』連載中)『ハカイジュウ』(『月刊少年チャンピオン』連載中)も虫系ですね。“生理的にイヤ”っていうのが敵役としていいんでしょう」(奈良崎氏)

ただ、「敵役ならイヤなやつがいいに決まってる」と思われがちだが、最近の人気バトル漫画からするとその感覚は少数派かもしれない。こんな意見があるからだ。

「ここしばらくの売れ線バトル漫画って、わかりやすい“イヤなやつ”がいないんですよ。『悪いことをするにも理由がある』みたいな感じで。でも、『テラフォーマーズ』のゴキブリや『進撃の巨人』(『別冊少年マガジン』連載中)の巨人とか、悪役が“徹底的にイヤなやつ”に戻ってきているのかもしれないですね」(某漫画雑誌編集者)

憎むべき悪……そして、それに打ち勝つこと。まさに日本そのものがどん底まで落とされた、東日本大震災後ならではの漫画嗜好の変化なのかもしれない。

安易なハッピーエンドよりも困難に立ち向かう、まさに今のバトル漫画には「闘う主人公」こそが望まれているのだ。

(取材・文/大坪ケムタ)



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