高レベル放射性廃棄物を処分する方法が日本にはない

週プレNEWS / 2012年12月11日 17時0分

原発の使用済み燃料が保管されている青森県六ケ所村の再処理工場。全国の使用済み燃料を再処理すると約2万4700本分ものガラス固化体が発生するという

衆院選で各党が争点に挙げる原発問題。しかし、原発ゼロ、原発推進のどちらを選んだとしても厄介なのが、すでに存在する「高レベル放射性廃棄物」の問題だ。この処分法については、これまでさまざまな検討がなされ、地下300m以深に埋める「地層処分」が唯一の解決法とされていた。だが、この方法が今、暗礁に乗り上げている。

高レベル放射性廃棄物とは、核燃料を原発で燃やすことで生まれる使用済み燃料、そして使用済み燃料から新たにウランとプルトニウムを取り出す作業(再処理と呼ばれ、この一連の過程を核燃料サイクルと呼ぶ)から出る高濃度の廃液をガラスで固めたガラス固化体など、放射線量が極めて高い物質を指す。

この物質の問題は、まず毒性が非常に高いこと。円筒形をしたガラス固化体1本(直径43cm×高さ134cm、重さは約500kg)の放射能量は製造直後で2京ベクレル、金属パックされた表面の放射線量は同時点で毎時1500シーベルト。人が近づけば1分以内で死に至るという。

そして、コレをすぐに最終処分するのかといえばそうではない。役目を終えたばかりの使用済み燃料や出来たてホヤホヤのガラス固化体は表面温度が非常に高い。そのため、前者は使用済み燃料プールの中で数年間、後者は青森県六ヶ所村と茨城県東海村にある貯蔵施設で30年から50年間、最終処分前に冷やす必要があるのだ。

また、こうした高レベル廃棄物の最も厄介な点は、数万年から10万年、人間環境から隔離しなければならないことにある。その理由は、使用済み燃料の場合、放射能の毒性が天然のウラン鉱石並みに減少するのに、およそ10万年の年月を要するからであり、ガラス固化体の場合でも、数万年を要するためだ。

2011年12月末時点で、日本の高レベル廃棄物の総量は約2万7000トンに上る。世界各国の高レベル廃棄物の総量は25万トンともいわれるので、世界の約10分の1強が“日本のゴミ”にあたる。

この高レベル廃棄物の処分法については、これまでどんな方法が検討されてきたのか? 『放射性廃棄物の憂鬱』(祥伝社新書)の著書がある楠戸伊緒里氏に聞いた。

「処分法として初期に有力視されたのは、深海への海洋投棄です。しかし海洋汚染を防止するためのロンドン条約が1972年に採択され、75年には高レベル廃棄物、93年にはすべての放射性廃棄物の海洋投棄が禁止されました。日本は75年の決定を受けて地層処分を進めることになったのです」

地層処分とは放射性廃棄物を地下深くに隔離する方法のこと。比較的放射能の低い低レベル廃棄物の場合には、浅い地中に埋設する地中処分という方法が採られるが、放射能レベルが極めて高い高レベル廃棄物については、地下300m以深の安定した岩盤に埋設することが、2000年制定の「最終処分法」で定められている。

しかし今年9月、日本の科学者の意見をまとめる日本学術会議が、「地層処分の安全性を認めることはできない」という声明を出した。3・11の大地震と津波を予知できなかった科学的知見の限界を認め、地震国日本では10万年先までの月日を要する地層処分の安全性が保証できず「再考の必要がある」と結論づけたのだ。

キケンすぎる原発ゴミを大量に抱えたまま、処分方法も定まらない……、それが日本の現状なのだ。

(取材・文/長谷川博一)



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