普天間基地で訓練を初公開したオスプレイに最接近してきた

週プレNEWS / 2012年12月28日 6時0分

配備をめぐって「危険」「騒音がさらにひどくなる」などと激しい反対運動が行なわれたオスプレイを、間近で見てきた!

10月に山口の岩国基地(岩国市)から沖縄の普天間基地(宜野湾[ぎのわん]市)に移動した米軍の垂直離着陸輸送機「MV-22オスプレイ」(以下、オスプレイ)が、普天間への配備後、初めて日本の一部メディアに公開された。

市街地のど真ん中にある海兵隊の普天間基地は、2700mの滑走路を持ち、空軍の嘉手納(かでな)基地と同様に米軍の重要拠点だ。

基地ゲートに続く道には、地中埋設式の太い円筒形の障害物が交互に並び、そこを通行する車は蛇行しなければならない。この障害物を突破しようとして正面衝突したのか、大破したままの乗用車が放置されており、緊張感が走る。

基地内に入ってしまえば、そこはもうアメリカ。東京ドーム100個分の約450ヘクタールの敷地に軍用機約50機、隊員と軍属約3000人が暮らす。

今回、公開されたミッションは、1週間続く演習「リュウキュウ・ウォリアー(琉球の戦士)」のうちのひとつ。沖縄本島北部沖にある伊江島補助飛行場でケガ人が出たという想定で、普天間から2機のオスプレイが出動し、約20人をストレッチャーなどで運び出すというものだ。

第三海兵遠征軍(広報担当)のグレゴリー・キャロル中尉が説明してくれた。

「オスプレイで訓練して、いかに早く患者をたくさん運べるかの運用訓練です。航空部隊にとってこれは重要なことで、2機で行なうのはお互いに支援するため。それぞれ医官が乗り込み、機内で処置を施しながら、ケガの程度によってトリアージ(優先度を決定)し、普天間に着いてからはすぐさま救急車によって、米本土外では最大の海軍病院(キャンプ・レスター)に搬送されます」

そう説明している背後でローターがうなりを上げ、2機がヘリモードで離陸していった。

オスプレイは最高時速519キロ、搭載量は9072kg、収容人数は24人。作戦行動半径は602km。空中給油も可能で、すでに3機のオスプレイが沖縄からグアムまでの片道約2300km飛行を実施したという。それまでの普天間基地の主力ヘリであるCH-46シーナイトはすでに現役40年以上、巡航速度241キロで行動半径は146km。その性能差は明らかで米軍は現在、機体を更新中だ。

「例えば、再び東日本大震災が発生したとして、沖縄から被災の現場に行くとなると、CH-46は空中給油ができないため1日半かかりますが、オスプレイなら4時間半で済む」(米軍関係者)

約45分後、2機がプロペラを固定翼モードからヘリモードにしながら目の前に近づいてくる。

米軍のデータによれば、オスプレイは着陸時に限ってはCH-46に比べて独自の重低音(騒音)がするということで、事前にイヤープラグ(耳栓)を配られていた。だが、結局、それを使うことはなかった。なぜなら、記者はこれまでにSH-60、CH-47といった米軍や自衛隊のヘリの乗機経験もあるが、「音の大きさはあまり変わらないのでは」と感じたからだ。

ローターによるダウンウォッシュ(吹き下ろし)もほかのヘリと比べて特別すごいということはなく、滑走路がコンクリートのせいか、砂だらけになることもなかった。

2機のオスプレイは、後部ハッチからストレッチャーで患者を基地に用意された救急車に搬送し終わるまで、ずっとエンジンを回していたが、どちらかといえば、音やダウンウォッシュよりも、むしろ重傷患者役を演じた海兵隊員が口元にリアルな血のりをつけていたことに驚いたほどだ。

普天間をはじめとする沖縄基地問題は、日米政府が基地移設に乗り出して16年が経過し、解決の糸口すら見つけられず、迷走するばかり。だが、その責任を新鋭機オスプレイだけに負わせる現状には違和感を覚えずにはいられない。

(取材・文/世良光弘)



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