韓国・朴大統領誕生で日韓関係のカギは北朝鮮になる

週プレNEWS / 2012年12月27日 9時0分

12月19日に行なわれた韓国大統領選で、初の女性大統領が誕生した。勝利したのは、かつて“独裁者”として恐れられた、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の次女・朴槿恵(パク・クネ)候補。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の側近で左派野党・民主統合党候補の文在寅(ムン・ジェイン)とは、得票率の差わずか3.72ポイントの接戦だった。

朴政権の誕生は、日本にとっても無関係ではあり得ない。彼女は日本に対する強硬姿勢を掲げており、9月の記者会見では「独島(竹島の韓国名)の領土問題など存在しない。日本が韓国の主張を認めればいいこと。そうでなければ、あらゆる分野の交流が停滞することになる」などとも発言している。

領土問題で揉めるぐらいなら、いっそ無視してしまえばいい――。そんな姿勢さえ透けて見えるようだが、「領土問題における日韓の“冷戦”が問題なのではない」と指摘する声もある。かつて韓国軍の対北情報高官を務めた、戦争小説家のイ・ヨン氏だ。

「この先、日本はいやでも韓国と手を組まなければならなくなります。12月に北朝鮮が発射した“人工衛星”は事実上、大陸間弾道ミサイルを飛ばす技術があるということを証明しました。日本はもちろん、アメリカまでも射程圏にあることがわかった。すると日本は、米韓と手を組んで、北に圧力をかける体制を整えることが不可欠になっていくでしょう。つまり、韓国とは『腹の底では竹島をめぐって悪感情を抱きながら、手を組まざるを得ない』という状況に陥ってしまうことになるのです」

だが、日本にとってのさらなる苦しみは、南北の微妙なバランスの変化によってもたらされる。北朝鮮は朴政権の誕生をかなり恐れており、メディアは「独裁者の娘の出現を世界が笑っている」などと罵倒した。なぜか?

前政権が「北が核放棄し開放への姿勢を取らない限り支援しない」というスタンスを取った結果、支援額は2007年までの太陽政策時代と比べて10分の1レベルにまで下がり、国民生活は逼迫した。朴氏は「対話への準備がある」と柔軟な姿勢を示すものの、大枠は現政権の路線が踏襲されるため、一気に太陽政策のような支援へと舵を切ることは考えにくい。

「北朝鮮はそんな朴氏の“ポーズ”を見越している」と、前出のイ・ヨン氏が続ける。

「結果的に、北朝鮮は完全に韓国を交渉の相手とは見なさなくなるでしょう。すると、飛び火する先はアメリカと日本です。先ほど申し上げた大陸間弾道弾ミサイルを北が発射した本当の狙いは、アメリカの注意を引きつけることにあった。日本は……北にとってはアメリカの傀儡という位置づけですから、ついでに挑発を仕掛けてくる可能性があります」

さらに、イ氏が念を押す。

「先のミサイル発射はちょうど金正日の死後1年のタイミングでした。今後も、北朝鮮の記念日は常に警戒が必要です。直近でいうと金正恩の誕生日である2013年1月8日。まあ、そこは早すぎるにしても、2月16日の金正日の誕生日近くは危険です。金正恩は軍部掌握のため、できるだけ早く功績を挙げることを考えていますから」

ちょうど同時期に日韓のトップが交代したが、北朝鮮の行動次第では、さっそく来年初めにも両国首脳は危機に直面することになるだろう。

(取材・文/吉崎エイジーニョ)

■週刊プレイボーイ1・2超特大合併号「韓国初の女性大統領が招く、ニッポンの“三重苦”」より



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