安倍新総理は尖閣問題で支持率アップを狙っている

週プレNEWS / 2012年12月28日 9時0分

「日本を、取り戻す。」を合い言葉に掲げ、政権奪還を成し遂げた安倍自民党。一方で、尖閣諸島の実効支配や自衛隊の国軍化など“強い国”を目指す姿勢に警戒心を強める国も少なくない。いったい、安倍政権下の日本はどうなっていくのだろうか?

元外務省国際情報局長で外交評論家の孫崎享氏は、安倍政権の不安材料をこう指摘する。

「政権発足当初は40%ぐらいの内閣支持率があってもおかしくありません。ただ、自民党の目玉である景気浮揚策は、円安にして2%の物価上昇を目指すというものですから、国民にとってすぐにプラス材料になるとは思えません。そうしたなかで安倍さんが支持率を上げる簡単な方法は、尖閣諸島の問題でナショナリズムを盛り上げていくことです。これにはコストもかかりません。中国との対立を煽っていれば、国内からも反発は出ない。悪いのは中国だということになるからです」(孫崎氏)

安倍総裁は尖閣問題では「1ミリも譲らない」とも公言している。裏を返せば、たとえ1ミリでも譲歩すれば、自分自身の首を絞めることになる。

「安倍さんは尖閣諸島における日本の実効支配を確実化させようとするでしょう。しかし、もしそれをやれば中国は確実に反発します。非常に危険です。2012年9月から中国が明確にしてきたのは『日本が行なうのと同じ程度のことは必ずやる』ということ。海上保安庁が警備を強化すれば、中国側も警備を強化してきました。もし日本側が実際に尖閣諸島に人を常駐させたりすれば、中国側もそれ相応の対抗手段を打ってくるはずです」(孫崎氏)

孫崎氏は尖閣問題を「棚上げにすることが「日中が紛争を避ける一番賢いやり方」と主張しているが、安倍政権が「棚上げ」にする確率は極めて低いとみている。

「最もあり得るシナリオは、海保の船と中国の監視船が衝突事故を起こすことです。すでに2012年9月は、アメリカの星条旗新聞が海保の船と中国の監視船が異常接近した映像を報じています。それぐらいの緊張が日中間では起こっているのです」(孫崎氏)

政権交代前から一触即発の状態が続いている尖閣問題。日中間の緊張を緩和する要素は、どこにもないのだろうか?

「唯一の望みは、アメリカに『緊張をあまり高めるな』という雰囲気が生まれてきたことです。これまでアメリカは国防総省を中心とする軍産複合体が日中関係の緊張を高めることで日米同盟を強化しようとしてきました。ところが最近の米国世論は、指導者層も国民も『中国のほうが日本よりも大事だ』という親中派の勢いが強くなってきています。日中の緊張が高まれば、親中派が日本に対して『何をやっているんだ』と圧力をかけてくるでしょう」(孫崎氏)

頼みの綱のアメリカが日本側につかないとなれば、日本はこれ以上突っ張ることができないのだ。

「党内的にも『参議院選挙が終わるまでは静かにしろ』と助言する人も出てくるでしょう。そこが安倍さんの抑止力になれるかどうか。ただし、ここまで議席を獲得してしまうと、どうしても強硬姿勢を示し続けないわけにはいかない。難しい舵取りを迫られるでしょうね」(孫崎氏)

力強く拳を突き上げて総選挙に勝利した安倍総裁。予想どおりとはいえ、大勝したことが逆に選択肢を狭めることになるとは、なんとも皮肉な話である。

(取材・文/畠山理仁)

■週刊プレイボーイ1・2超特大合併号「一触即発の領土問題で安倍新政権崩壊の危機!」より



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