JMR生活総合研究所代表・松田久一が今年の価格動向をズバリ読み解く「2013年は低価格路線が続く」

週プレNEWS / 2013年1月1日 15時0分

「いまは世界的な景気後退局面。モノが売れず価格は下がる傾向にあります」と語る松田久一氏

長引くデフレ経済はどこまで続くのか、政権交代でインフレに転化するのか? さらに欧州危機に穀物不安etc…、2013年、私たちの生活はどうなるのだろうか?

2013年を読み解くのにまずとらえておくべき前提をJMR生活総合研究所の松田久一代表に聞いた。

「まず景気の局面ですね。08年にリーマン・ショックがあり、翌09年が景気の底といわれています。その後、ようやく上昇局面にきたときに東日本大震災が起きた。多くの方が亡くなられ、かなりの数の生産設備が壊れた。生産と需要の両面が打撃を受けて景気が先折れしたところに、12年には10兆円の復興予算が投入された。日本のGDP500兆円に対しての10兆円なので、約2%の浮揚効果があったわけです。それが12年の上期まで。

その後、下期からまた景気は後退局面を迎えています。これは完全に政策不況です。消費税増税を見越して中高年の消費の足を引っ張った。13年も、消費に関しての上昇はないでしょうね」

消費が冷え込むということは、モノが売れないってことですね。となると、ずばりモノの値段は?

「売れないから下げざるを得ません。これは日本だけのことではありません。いま中国がちょっと厳しい。バブル崩壊のような状態になってきています。中国は日米欧の各国から投資を受けて、それによって生産を増やし輸出しているわけですが、いまはヨーロッパの景気が良くなく、中国への投資も減れば輸出も減っている。さらに、日中関係の悪化で日本からの投資も激減しています。アメリカの景気が少しマシですが、アメリカ頼りというわけにもいかない。いまは世界的な景気後退局面にありますから、モノが売れず価格は下がる傾向にあります」

この値下げ傾向について、国内に目を向けると、2013年はどんな動きになりそうですか?

「いま流通業界はモノが売れないことにものすごい焦りを感じています。家電量販店の売り上げは、エコポイント当時の4割ほどしかないはずです。モノを売る一番簡単な方法としては、値段を下げるしかない。そうなると、メーカーを叩くのが唯一の方法というよりほかに知恵がない。ヨドバシもヤマダも、量販店は同じメーカーの製品を置くわけですから製品に付加価値のつけようがない。どうしても価格一点張りの勝負になる」

そういう動きは、家電量販店に限った話ではないんでしょうか。

「大手スーパーやコンビニなどの流通各社も、需要がこれからさらに減少すると見込んで低価格路線を打ち出しています。余談ですが、いまアメリカのスーパーで世界最大の流通大手ウォルマートが、『ウォール・ストリート・ジャーナル』で『日本で、やっと自分たちが登場するときが来た』と発言しています」

ウォルマートといえば、西友の親会社。その本体が進出するということには、どんな真意が?

「いままでは、日本はトレンドとしての低価格だった。ところが、すでに低収入層という階層ができていると。そこで出番が来たというワケで、日本に200店舗を出すという記事がありました。西友だけには任せられないと、本格的に本体が出てくるのでは」

流通の王様が来襲となると、低価格路線にさらに拍車がかかりそうだ……。12年の年末にはイトーヨーカ堂が1000品目の一斉値下げを発表し、ニトリも850品目で10%から40%の値下げを断行している。

「2013年こそ、その流れが本格化しそうです。消費は後退局面に入っていて、若い人は衣食住を中心に消費し、大型耐久消費財は全然買ってくれない。さらにこれまで消費を支えてきた中高年も老後の不安から消費を絞っています。各社、売るためにさらなる低価格でやるしかないでしょう」

もっとも、2013年には業界の動向とはまったく別の価格変動要因があるとか……。

「新政権の金融政策によって金利が上がって、物価も上がる可能性があります。安倍さんはお金をどんどん刷ると言っているので、円安になってインフレが起こるみたいなシナリオが、いまエコノミストの間ではメインの見方になりつつありますからね。ただ、仮にそうだとしても実際に物価が上がるのも賃金が上昇に転化するのも少し時間がかかります。やはり、しばらく低価格路線は続くのではないでしょうか」

政治に期待しすぎるとバカを見るのは身に染みたが、デフレ脱却はぜひお願いしたい。

(取材・文/頓所直人 撮影/利根川幸秀)

●松田久一(まつだ・ひさかず)



1956年生まれ、兵庫県出身。1980年、同志社大学商学部卒業後、日本マーケティング研究所に入社、戦略経営の実務を経験。91年、JMR生活総合研究所を設立、日本を代表する企業の戦略課題解決に取り組む

■週刊プレイボーイ1・2超特大合併号「2013年 モノの値段アップ&ダウン」より



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