国防軍が誕生したら徴兵制が復活するのか?

週プレNEWS / 2013年1月9日 12時0分

国防軍創設を公約に掲げて総選挙を戦った自民党が圧勝したため、にわかに現実味を帯びてきた、自衛隊の国防軍への“昇格”。もしこれが実現したら、いったい自衛隊の何がどう変わるのだろうか?

一番の懸念は、軍隊化されることで「徴兵制が復活するのでは?」というものだ。しかし、自衛隊がいつも定員割れで悩んでいるからといって、軍になれば徴兵制に飛びつくワケではない。

現代の兵士は各種装備の使い方など覚えるべきことが多く、プロフェッショナルな人材が求められる。入って2、3年で辞めていく人の教育に労力を使う余裕はないのが実情だ。

しかも、仮に10~20歳の若者を徴兵するとなると、給料や養成費用で大きな予算が必要になる。それに、若い労働者を奪うことによって社会全体が労働力不足となり、国内消費も低迷するなど国家経済におけるデメリットも無視できない。

ドイツをはじめ、世界的に見ても徴兵制は廃止の方向がトレンドになっていることからも、徴兵制復活の議論は現実味が薄いことがわかる。

では、国防軍になるメリットとは何か? 例えば、“軍”として、今よりも強くなることなどあるのか?

もちろん、わかりにくい自衛隊専門用語である「普通科」「特科」をちゃんと「歩兵」「砲兵」と呼べば気合いが入るだろうし、防衛庁が省に昇格したときのように、多少は隊員の士気が上がるかもしれない。だが、ほかはまったく変わらないので直接的には強くも弱くもならない。

「ただ、国防軍と規定することによって、軍や兵士の定義が世界標準になり、有事の際のROE(交戦規定)や活動上の制約が減ることになるでしょう。一方で、これまでのように『自分たちは軍人じゃないから』という公務員的な“言い訳”も通用しなくなるでしょうね」(軍事ジャーナリストの毒島刀也氏)

しかし、活動上の制約が減るからといって、外国にもガンガン攻めていけるワケではない。それは現行の憲法で、紛争解決の手段としての戦争行為を放棄しているからだ。

「そもそも長い間、専守防衛に基づいた戦力編成を構築してきているので、長距離侵攻型の攻撃機や輸送艦など攻め込むための戦力はありません。でも、今後は島嶼奪還やミサイル発射台の破壊ができるだけの限定的な攻撃能力は、抑止力の意味も含めて持つべきだと思います」(毒島氏)

さらに、自民党は公約に「憲法改正」も掲げている。その内容次第では、国防軍ができることの幅はずっと広がる。

少なくとも、国防軍が実現すれば、海外のPKO活動で「外国の軍隊に守ってもらうけど、うちからは助けません」といった理屈が通用しなくなるのは確かだ。

(取材・文/本誌軍事班 [取材協力/世良光弘 小峯隆生])

■週刊プレイボーイ3・4合併号「自衛隊の“ニッポン防衛”最前線!」より



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