SNSの浸透が振り込め詐欺の進化に一役買っている

週プレNEWS / 2013年1月11日 13時0分

2012年の振り込め詐欺による被害額は、これまで最悪だった2004年の約284億円を超える300億円超にも上った。人々の将来への不安や心のスキにつけ入る詐欺師たちにとって、昨年は、まさに笑いの止まらない一年だったのだ。

特に昨年は「劇場型詐欺」という手口が爆発的に増えた。複数の「役者=詐欺師」が共謀して消費者をだまし、実体のない会社の未公開株や社債、金融商品などを購入させて代金を騙し取る手法だ。大がかりな分、1件の被害額は従来の「振り込め詐欺」より大きくなるのが特徴だ。

こうした被害にはさまざまな対策が練られているが、対策を講じるほど被害が拡大してしまうという構造があるという。詐欺をテーマとした大人気コミック『クロサギ』の原作者である夏原武氏が指摘する。

「振り込む手前に窓口で注意を促したり、ATMからの振り込み額を制限するなど、銀行側も対策を取ったのですが、それに対し詐欺師側は、被害者から“手渡し”で金銭を受け取るようになり、結果的には被害額が大きくなってしまった」

さらに、詐欺行為の裏には反社会的勢力が関わっているケースも増えているという。

「こうした大がかりな詐欺は暴力団が関わるケースが多くて、ひと昔前の暴力団は詐欺師のケツ持ちをする程度でしたが、今は、自ら詐欺を手がけるようになっている。これは暴対法で資金源を断たれ、新たなシノギを求めたためです。つまり、金融機関や警察の“取締り強化”が逆に被害を拡大させたわけで、皮肉としか言いようがありません。でもこの手口は今年も猛威を振るうでしょう」(夏原氏)

一方、トラブルに巻き込まれた家族を装いお金を振り込ませる、古典的「オレオレ詐欺」においても、昨年は“手渡し”が広まった。夏原氏は、ここでSNSの無防備な利用に注意を促す。

「例えばフェイスブックではみんな、友人の名前や職業、よく行くお店などを平気で一般公開している。詐欺師からすれば、ユーザーの家族を騙す際の“ウソの精度”を高める格好の材料が容易に手に入るわけで、『詐欺をしてください』と言っているようなもの。今の時代、個人情報は盗まれているんじゃなくて、自ら提供しているようなものですよ」

自分はだまされない自信があるからプライベートをさらしても大丈夫と思っている人も、両親や祖父母が、自分を装った詐欺師に騙される恐れがあることを忘れてはいけない。

(取材・文/コバタカヒト)

■週刊プレイボーイ3・4合併号「2012年の詐欺を振り返り、2013年の詐欺を展望する!!」より



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