中国のミサイル攻撃を防ぐには500億円の軍事費が必要

週プレNEWS / 2013年1月16日 6時0分

海自のイージス艦「こんごう」から発射される弾道ミサイル迎撃用のSM-3ミサイル

中国中央電子台(CCTV)などの官製メディアが連日のように日中開戦を想定した特集番組を放送するなか、衝撃の情報が駆けめぐった。中国人民解放軍を指揮する総参謀部が全軍に向けて出した2013年の「軍事訓練に関する指示」内で、戦争準備をしっかりと行なうよう通達したと1月14日付けの解放軍報などが伝えたのだ。



もし中国が日本との軍事衝突を本気で意識し始めたのなら、ミサイル攻撃ひとつとっても、その破壊力は北朝鮮の比ではない。ミサイル戦略に詳しい戦争&平和社会学者の北村淳氏(米国軍事シンクタンク)に、有事の際に何が起きるのか聞いてみた。

***

―北村先生、ミサイルを使って、中国はどのような攻撃を仕掛けてくるのでしょうか?

北村 一昨年、興味深い動きがありました。中国人民解放軍に原発警備の予算がつき、原発周辺に対空ミサイル部隊を配備し始めたのです。これは裏を返せば、中国に他国の原発施設をミサイル攻撃する計画があることを示唆します。

中国が核弾頭を使ったり、原子炉そのものを攻撃したりすれば国際社会から非難は避けられない。しかし、3・11によって、原発は電源を喪失するだけで勝手にメルトダウンすることがわかってしまった。原発周辺の電源施設を通常弾頭で攻撃するだけで、核兵器に匹敵する破壊力があるのです。

―わざと周辺施設を狙うなんて卑怯じゃないですか! どんなミサイルを使うんですか?

北村 速いのは中距離弾道ミサイル東風21型。これは一部の島嶼(とうしょ)を除いた日本全土が射程内で、到達時間は、5分から7分です。

―日本には弾道ミサイルを迎撃するイージス艦とPAC3があります。総動員して、バンバン撃ち落とせばいいのでは?

北村 全部は無理でしょう。弾道ミサイルだけでなく、中国東北部には巡航ミサイル部隊があり、東海10型と長剣10型をTEL(トレーラー式の発射台)で展開している。約1時間で日本に到達します。

―中国製品は故障も多いです。目標に命中しないのでは?

北村 巡航ミサイルのCEP(半径に半数が命中する精度)が10m。弾道ミサイルは30~40mです。

―性能、メチャいいじゃないですか!! 空から落ちてくる弾道ミサイルはともかく、水平飛行する巡航ミサイルは自衛隊の戦闘機で迎撃できませんか?

北村 仮に弾道ミサイルが数十発、巡航ミサイルが200発飛んでくるとします。イージス艦とPAC3で迎撃できるエリアは限られているので、弾道ミサイル十数発は目標に命中。一方、稼働できる空自の戦闘機を全投入して巡航ミサイル1発に対し2機を割り当てると、約100発の撃墜は期待できますが、残り100発は着弾します。

―そんなにたくさん着弾したら、日本が壊滅してしまいます!

北村 ですから、中国は実際に撃つ前に、「弾道ミサイルと長距離巡航ミサイル数百発による飽和攻撃をすれば、日本のインフラは壊滅的打撃を受けるぞ」と恫喝してくるでしょう。これに日本政府が屈服すれば、戦わずして敗北です。

―悔しいです! 何か画期的な対抗手段はないのでしょうか?

北村 現実的な報復的抑止力のひとつは、日本が大量のトマホーク長距離巡航ミサイル(TLAMC)を装備することです。すぐに配備可能なのは、水上艦のMk-41垂直発射管用のRGM-109と、潜水艦魚雷発射管用のUGM-109。海自の水上艦艇はMk-41を約700個装備、潜水艦の発射管は約100個あり、合計約800発が装填可能です。全部は無理でも、400から500発は必要。1発およそ1億円、計400億から500億円で、中国ミサイルの脅威に対してある程度の抑止力を保持でき、恫喝外交を防げます。

―なるほど。安倍首相、買ってみますか?

(取材・文/本誌軍事班[取材協力/世良光弘 小峯隆生])

■週刊プレイボーイ3・4合併号「自衛隊の“ニッポン防衛”最前線!」より



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