北朝鮮が外国人のケータイ使用を解禁したワケ

週プレNEWS / 2013年2月3日 12時10分

北朝鮮がこの1月から、外国人のケータイ電話持ち込みを解禁した。入国時に北朝鮮国内でのみ使用可能なSIMカードを有償で貸すシステムで、国際電話だけに対応している。現在は音声通話のみだが、近いうちに端末からのインターネット接続が実現する可能性もあるという。

そもそも今回の解禁まで、外国人が所持するケータイはどうなっていたのか? かつて爆風スランプのドラマーとして活躍し、昨年まで7年にわたって北朝鮮の中学生にロックを教えてきた顛末を『平壌6月9日高等中学校・軽音楽部』(集英社インターナショナル)として出版したばかりの、ファンキー末吉(すえよし)氏に聞いてみた。

「以前は入国時、空港の税関に自分のケータイを預けることになっていたんです。証書として番号が書かれた紙を受け取り、出国の際にそれを渡すと端末を返してくれる仕組みでした。証書といってもペラペラの粗末な紙切れなので、本当に戻ってくるのか不安でしたけどね(笑)」

そして、入国後は外国人用のホテルやレストランにある固定電話を使った国際電話のみ許可されていたのだとか。

ここ数年、北朝鮮国民の間でもケータイは爆発的に普及し、加入者はすでに150万人超。同国の人口は約2400万人だから、国民のおよそ16人にひとりが持っている計算だ。しかし、北朝鮮国内で購入できるケータイは、ネット接続や国際電話ができない仕様になっている。そもそも一般市民や外国人はPCなどを使っても、ネットへアクセスできないのである。そして、外国人が端末を持ち込めるようになったとはいえ、それを使って北朝鮮国内の番号へかけることは不可能。つまり、国民が海外の情報から遮断されている状況にはなんら変化がないわけだ。

ただ、外国人限定とはいえ、従来の厳しい情報統制が緩和されたのは疑いようのない事実。金正恩(キムジョンウン)政権はなぜ、そのような思い切った決断を下したのだろう。

コリア国際研究所所長の朴斗鎮(パクトウジン)氏は、背景をこう読み解く。

「現在、北朝鮮には海外からの資本が入り込み始めています。それに伴って、大勢の外国人ビジネスマンが来朝している。彼らにとって、ケータイが使えないこれまでの状況はものすごく不便だった。そこで政府が彼らのリクエストに応えることで、より活発な資本流入を促そうとしているのです」

つまり、あくまで自国への投資環境整備のためであって、北朝鮮という国が情報公開や経済開放に向かい始めた兆候ではないのだ。

「だから、当然、外国人への監視体制も維持されています。端末を持ち込めるようになったといっても、入国時に自分の端末固有の識別番号を申請、登録しなければならない。当局はその情報を元に、誰がどんな話をしていたかを把握できるわけですから」(朴氏)

おー、怖っ。では、そんなリスクを百も承知でわれわれ日本人が北朝鮮旅行(そもそも、そうした機会自体が限られるが……)の際に、自分のケータイを持ち込みたいと思ったら、どんな準備をしていけばいい? 携帯電話ライターの佐野正弘氏はこう語る。

「SIMロックのかかっていない端末が必要です。しかも、北朝鮮の通信インフラは日本より一世代古い『3G』ですし、外国人向けにレンタルしているSIMも現在先進国で主流になっている『ナノ』や『マイクロ』ではなく、おそらく通常サイズでしょう。そんな旧型のSIMが挿せてロックフリーの機種となると、特殊なものを除けば、Xi(クロッシイ)を導入したての頃までのドコモ端末くらい。もちろん、すでにカタログ落ちしていますから、中古市場で探すしかない」

筋金入りのケータイオタクなら、そうまでしてでも北朝鮮に乗り込んでみる価値はある?

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