軽自動車戦争に投入された新型ムーヴの乗り心地とは?

週プレNEWS / 2013年2月3日 6時30分

FFの全車に前後スタビライザーを装備。「乗り心地の高級感」ではこのクラスで抜けた感のある新型ムーヴ

1月22日、ダイハツ工業は昨年12月20日にマイナーチェンジして発売した軽自動車「ムーヴ」の累計受注台数が、発売から約1カ月で約2万1000台に達したと発表した。月間目標を約9000台も上回る好調な売れ行きだ。

マイナーチェンジではこれまでの丸っこいモノフォルムを一転。角ばったボンネットや、ムーヴの売りだったセンターメーターを廃止するなど、ムーヴ伝統の「らしい」部分をスッパリ変更したことが話題になった。

しかし、もっとも注目すべきは中身の改良だ。ワゴンR(スズキ)の「エネチャージ」のような新機軸ではなく、ボディの空力改善から車高ダウン、CVTオイルの温度管理まで、とにかく地道な努力のたまもので「ミドルハイトワゴン最高」のカタログ燃費「29.0km/l」を達成している。

「スズキさんのエネチャージは将来的には大きな可能性があると思うんですけど、まだ完全に生かしきってない感じですね。ウチの29.0km/lは今ある技術のポテンシャルをギリギリまで絞り出しています」(「ムーヴ」燃費開発担当者)

さらに新ムーヴでは、120万円台という低価格車とは思えない、しっとりと安定した乗り心地も実現。足まわりの設定がグレードごとではなく、エンジンと駆動方式ごとに統一された。単純に部品を省く……という昔ながらの手法から脱皮して「仕様数を減らしてトータルに安くする」という手法にシフトしているのだ。

だから、新ムーヴではFFの全車に前後スタビライザー(以下、スタビ)がつく。スタビとは乗り心地を悪化させずに左右に傾くロールを減らせる部品で、本来はクルマの走りのキモとなるが、価格競争が激しい軽では省かれることが多い。従来のムーヴでもスタビがつくのは高価なカスタム系だけだったが、新ムーヴは「つくり分けないこと」で、モノを良くしながらコストも抑える……という高度なクルマづくりをしている。

今回のように120万円台のグレードだと、N−ONEとワゴンRはいまだにスタビなしだが、新ムーヴに乗ればスタビ効果は絶大。N−ONEもワゴンRも十分に快適だが、新ムーヴはそれより明らかにしなやかなのに、コーナーでもロールが少なく安定している。まさにほかから一頭地抜いた「乗り心地の高級感」がウリなのだ。

ワゴンR、N−ONEといったさまざまな“軽ミドルハイト系”が注目を集める軽自動車市場。群を抜いた乗り心地を誇る新ムーヴが台頭するのか、要注目だ。

(取材・文/佐野弘宗、撮影/岡倉禎志)

■週刊プレイボーイ6号「3強乱立“軽ミドルハイト系”最強の一台はどれだ?」より

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