ボーイング787火災事故の原因はバッテリーではない?

週プレNEWS / 2013年2月5日 9時0分

日本航空は4日、最新鋭中型旅客機・ボーイング787(B787)の運航停止に伴い、25日から予定していた成田とヘルシンキ(フィンランド)を結ぶ直行便の新規開設を延期すると発表した。

B787の一連のトラブルの影響で、国内の航空会社が路線開設を延期するのは初めてとなる。

いまだ日米で発生した火災事故の原因を特定できず、一向に運航再開のメドが立たないB787。果たして、今回の事故の真の原因はなんなのだろうか。

米当局は、今回発火したリチウムイオンバッテリーおよび製造過程に原因があるとみて、その製造元であるGSユアサ社などを調査している。

一般的にリチウムイオンバッテリーは過充電で高温になりやすく、最悪の場合、発火することもある。過去にはノートパソコンや携帯電話に搭載されたリチウムイオンバッテリーが発火した事故も、多数起こっている。

「当局が“火元”から調べるのは当然のこと。ただ、バッテリー自体に問題があるとは限らないのが、今回の原因究明の難しいところ。革新的な電気系統システムを持つB787は、電気系統の配線もかなり複雑なので、バッテリーを制御する電力システム側にトラブルの原因がある可能性も大いにあるのです。ちなみにバッテリーと航空機電源の管理(ソフトウエアの開発など)は、フランスのタレス社が担っています」(航空機に詳しいジャーナリストの世良光弘氏)

タレス社のシステムに問題がある可能性はないのか?

「タレス社はミラージュ戦闘機やラファール戦闘機、民間ではエアバス社の電子システムなどを担当している、いわばフランスの国策会社。そんな単純なミスをするとは考えられません」(世良氏)

そのため、GSユアサ社やタレス社のほかに、リチウムイオンバッテリーの充電装置を製造する英国のセキュラプレーン・テクノロジーズ社、補助動力装置を製造する米プラット・アンド・ホイットニー社なども、続々“容疑者”として名前が挙がっている。

「原因がつかめないから名前が挙がる。現状では、応急措置すら施せない。この問題、私はけっこう長引くとみています」(世良氏)

一方、『世界の傑作旅客機50』などの著作のある航空評論家・嶋田久典氏は「調査待ちなので、あくまで個人的見解」と断った上で、こう指摘する。

「私の予想する原因のひとつは、ボーイング社の艤装(ぎそう)、つまり組み立てです。要はバッテリー一式を取り付ける段階に問題があるという可能性です。さらに疑わしい箇所は、バッテリー回路からの情報処理する機体監視ソフトウエア。B787は、高効率化のために機体を管理するソフトウエアを統一しています。



このソフトでエンジンの監視・操作から、エアコン、機内 放送、客席のアメニティ制御に至るまで、管理・制御している。すべてをひとつのソフトで管理するため、膨大なソースコードを書くことになります。当然、その量に比例して、プログラムのバグも増える。一応、開発段階でバグはひととおりつぶされているはずですが、想定外の状況やデータ入力より、思わぬバグが発生することもあるんです」

ボーイング社のソフトウエア管理能力には不安があると、嶋田氏は続ける。

「B787の燃料漏れトラブルに関しては、制御ソフトが翼端の燃料投棄ベントの弁の開閉センサーからの信号を受け取らなかった。つまり、信号を無視したとの中間報告が上がっています。これは、ソフトウエアが主犯であることを示唆しているのではないでしょうか」

誰が“主犯”にせよ、いまだ大惨事に至っていないのは不幸中の幸い。一日も早く事故原因が解明され、B787が再び飛び立つことを願わずにいられない。

(取材・文/コバタカヒト)

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