100の経済指標から見えてくる日本の武器とは?

週プレNEWS / 2013年2月26日 6時0分

「『世界にいい影響を与えていると思われる国ランキング』で日本は17ヵ国中1位」と鈴木賢志氏

100の経済指標を他国と比較し、「中小企業」「製造業」「情報機器の利用度」「ダイバーシティ」「政府の課税力」などの30のジャンルに分けて解説したのが『日本経済の鉱脈を読み解く経済指標100のルール』。アベノミクスで日経平均は上がってるみたいだし、雑誌でも投資の特集をやってるみたいだし、ちょっと株に手を出してみようかな……そんなことを考えてるあなたは、まずこの本を読んでどこに「鉱脈」があるかを学んでほしい。著者の鈴木賢志氏に聞いた。

―この本を書こうと思ったきっかけはなんですか?

「私は大学生に向けて授業をする立場にあるんですが、今の学生は日本経済のことをちゃんと知らないな、と思うことがよくあるんです。彼らは『失われた20年』なんていう言葉を聞いて育っているからか、日本には未来はないと本気で考えていたりする。そんな彼らに、きちんとデータにもとづいて日本の良いところと悪いところ両方を示したいと思ったのがきっかけです」

―出来上がった本を見ると、社会人の教科書としても使えそうですね。扱っているデータを見ていくと、なんとなく聞いたことのあるネタがきちんと裏づけされていて興味深いです。例えば、日本の中小企業は裾野が広く質が高いという話。

「国内サプライヤーの質の高さで、日本はスイス、オーストリアに次いで144ヵ国中3位(世界経済フォーラムの企業役員意識調査)。4位がドイツですね。一方で、製造業における中小企業で働く人の割合のランキングで、日本は28ヵ国中7位。サプライヤーの質の高さが評価されているスイスやオーストリア、ドイツは20位台です。

つまり、日本は製造業で働く人の割合が高いのに質も評価されている。そんな国はほかにありません」

―聞いたことのある話がデータで確認できる一方で、「こんな統計があるんだ」と感心してしまう指標もあります。例えば、「コールセンターで5分以上待てない人の割合」。日本は63%で断トツです。

「外国人が日本のサービスはすごいと言うし、日本人もそれを誇りに思っています。ですが、それはサービスする側に大きな負担をかけていることがここからわかりますよね。『お客さまは神様です』なんてよくいわれますけど、あれは本当に罪つくりな言葉です。

でも、やっぱりこれも日本企業の強みのひとつなんですよね。どうすれば顧客の満足度を高められるかのノウハウが、ほかの国とは違うレベルで得られるということですから」

―では、日本の悪いところが見える指標はなんですか?

「やはり財政黒字・赤字の対GDP比ですね。日本は1990年の時点で2.1%の黒字で、OECD(経済協力開発機構)加盟国のランキングでは6位でした。それが2010年ではマイナス8.1%で32ヵ国中26位。しかも、バブル絶頂の90年で2.1%ですから、単純計算で借金を返すにはバブル景気が100年続かないと借金は返せないわけです。『景気さえよくなれば借金は返せる』なんて言う政治家がいますが、どう考えても無理です」

―暗い話になってきました。最後に、調べてみて意外だった指標を教えてください。

「『世界にいい影響を与えていると思われる国ランキング』です。日本は世界の6割近い人から『いい影響を与えている』と評価され、17ヵ国中1位。それから、これはまた別の調査ですが、『今後2年以内に訪れたい国ランキング』で日本は3位です。すごくいい数字ですよね。こういうことがどんな兵器よりも日本の武器になるんだと思います」

(撮影/高橋定敬)

●鈴木賢志(すずき・けんじ)



1992年、東京大学法学部卒業。ストックホルム商科大学欧州日本研究所などを経て、明治大学国際日本学部准教授。日本テレビ『ネプ&イモトの世界番付』の監修など幅広く活動中

『日本経済の鉱脈を読み解く経済指標100のルール』



かんき出版 1680円



鈴木賢志



「海抜5メートル未満の場所に住む人口は2059万人」「日本の地下経済は34ヵ国中第30位」「国土に占める森林面積の割合は34ヵ国中3位」など、100の経済指標を分析。一冊で日本経済の姿が多面的に見えてくる!







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