レスリング「五輪除外」を決めたIOC理事会14人の“疑惑の人選過程”

週プレNEWS / 2013年2月25日 9時0分

2月12日に国際オリンピック委員会(IOC)がスイスで開催した理事会で、2020年五輪ではロンドン五輪で実施した26競技の中からレスリングを除外する方向で話を進めていくことを決めた「レスリング『五輪除外』問題」。これに対し、翌日に日本レスリング協会が開いた会見で、福田富昭会長は「IOCから明確な理由を示されていない。どういう手を打ったらいいのか」と困り果てた顔で話した。

この理事会にはIOCのジャック・ロゲ会長、4人の副会長、10人の理事が出席。レスリング、近代五種、ホッケー、カヌー、テコンドーからひとつの競技が除外候補として過半数を得るまで、ロゲ会長を除く14人が投票を繰り返した上での決定だったという。だが、そのプロセスに日本レスリング協会広報委員の樋口郁夫氏は首をかしげる。

「今まで(IOC上層部の)理事会での決議は競技数の増減のみ。競技を入れたり外したりするのは、(現在は101名いるIOC委員も出席する)総会での決議事項でした。理事会で決めるのは今回が初めてなんじゃないですかね」

投票した14人の人選も不可解。福田会長の話によると、選挙ではなくロゲ会長の独断で選ばれたというのだ。さらに、この14人の国籍やバックボーンを調べてみると、半数の7人が西欧圏の人間で、ヨットやボートといったマイナー競技の関係者も含まれている。フェンシングに至っては副会長と理事にひとりずつ入っているのだ。

反対にサッカー、バレーボールといった人気スポーツやレスリングの関係者は皆無。理事会がヨーロッパ中心主義の“お友達内閣”と揶揄されているのもうなずける。

おかしな点はほかにもある。レスリング除外の判断材料となったのはIOCが作成したテレビ視聴者数や国際性、伝統、普及などに分かれた39項目のレポートだというが、それは全部公開されたわけではない。

「ロンドン五輪のレスリングは世界のテレビ視聴者数が少なく、観客動員力も低かった」と推測する声もあるが、福田会長によると、レスリングの視聴者数は26競技中20位前後。下位とはいえ、最下位を争うレベルではなかったという。

にもかかわらず、なぜ除外の対象となったのか。レスリングの海外事情に詳しいある関係者は、他競技と比べていわゆる“根回し”や“袖の下”といったロビー活動が極端に少なかったことを挙げる。

さらにこんな話もある。今回の理事会では、サラマンチ前IOC会長の子息であるサラマンチ・ジュニア理事が暗躍したという噂が流布しているのだ。前出の事情通が語る。

「彼は国際近代五種連合の副会長である一方で、IOC理事ですからね。不公平というか、こんなばかげた話はない。今回は近代五種の生き残りをかけてロビー活動をしていたといわれています」

ロゲ会長は民主的な選考方法にのっとって決定したと主張するが、真相はいかに……?

(取材・文/布施鋼治)

■週刊プレイボーイ10号「レスリングが五輪で生き残る5つの秘策」より

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