東京都の「中央防波堤紛争」が調停で解決されない理由

週プレNEWS / 2013年3月7日 16時30分

かつて“お台場”エリアの領有権争いでは、ゴミ問題を前面に出した江東区が面積的に圧勝した。果たして中央防波堤の帰属先はどうなる?

かれこれ20年近くにわたって広大な「中央防波堤埋立地」(以下、中央防波堤)という“領地”をめぐる争いを繰り広げている江東区と大田区。江東区はゴミや焼却灰が区内を通って運ばれることによる「ゴミ公害問題」を、大田区は近隣に羽田空港があることから「戦略的な開発」を理由に、それぞれ領有権を主張している。

互いに一歩も譲らない争いが繰り広げられているなか、その様子を“第三者”はどう見ているのか。中央防波堤の領有権を2002年まで主張していた港区の役所関係者、C氏が語る。

「江東区さん(以下、敬称略)とは、別の埋立地で領有権をめぐってモメた過去があります。バトルの現場は、全国の皆さんにも有名な“お台場”エリアです。この島は住所が決まる前まで『13号地』と呼ばれていました」

そう、かつて“お台場”エリアの領有権をめぐり、港区、江東区、品川区が争っていたのだ。その結果は……?

「面積的には江東区の圧勝でした。この際も江東区はゴミ問題を前面に出して争い、結果を出した。約40年前にはゴミ問題がコジれて、江東区議らが杉並区のゴミ収集車を検問したっていう武闘派的な過去もある。江東区は今回もゴミ問題で押しまくると思います。ちなみに、旧13号地全体を指して世間一般が“お台場”と呼ぶようになったきっかけは、石原慎太郎前都知事が公式の場でそう発言して以来だと聞いております」(C氏)

この“お台場”エリアの領有権争いは、当時どのように解決したのだろうか?

「1982年に、地方自治法に基づき調停で解決しました。ただ調停というのは、紛争当事者である自治体すべてが調停を求めないと実現しません。中央防波堤に関しては江東区も大田区も調停を望んでいません。従って長きにわたり解決できずにいるのです」(C氏)

両区ともが調停を望まない裏事情を、東京都議会関係者のD氏が解説する。

「大田区側は表面上、負ける可能性が高いから提訴したくないように見える。でも調停になれば、どちらかの区が独占するのではなく、2島に分割される可能性もあるんです。日本人はけんか両成敗が好きですからね。となれば、中央防波堤は内側と外側の南北2島に分かれているため、南側に位置する大田区にはより広い土地が割り当てられることも期待できる」

大田区にとってメリットもあるのに、調停をしないのには理由があるという。D氏がさらに続ける。

「大田区が欲深いからだと思います。おそらく内側の北岸に建設される巨大コンテナターミナルを狙っているんですよ。一方の江東区は、現在進行形で実効支配している側だから圧倒的に優勢な状況。そこが逆に提訴しづらいんです。もし万が一負けたらシャレにならないからです」

しかし、互いの区がそれほど必死に中央防波堤の領有権を主張しているのはなぜか。D氏は「ここまで熱くなる背景には、商業施設やコンテナターミナルからの税収、国からの補助金アップだけが狙いではないはずです」と隠された理由に言及する。

「両者とも本心では、カジノ利権も視野に入れていると思いますよ。もちろん、カジノは国が法律を改正しなければ実現しませんが、もしカジノ法案が通ってカジノを含むメガリゾートを建設することになれば、広大な敷地が真っさらの状態で空港に直結している中央防波堤が有力な候補になるはず。そうなれば、莫大な利権と税収が期待できますからね」

尖閣諸島や竹島など日本の抱える領土問題と同様、紛争が起きる理由は結局、利権が目当てのようだ。せめて都内の争いくらい、一刻も早く解決してもらいたいものだ。

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