3.11から2年。「本当の復興」を目指して~復興牧場ミネロファーム

週プレNEWS / 2013年3月14日 6時0分

「牛は手をかけて育てた分だけ発育も健康も目に見えてわかる」と語る、長谷川義宗さん

福島市松川町にある「ミネロファーム」。NPO法人「福島農業復興ネットワーク」が運営する牧場で、震災により福島で失職した酪農家を雇用し、酪農業の復興を目指す。25歳のときから福島県飯舘村(いいたてむら)の実家の酪農場で働いていた長谷川義宗(はせがわ・よしむね)さん(34歳)は、2012年6月からこのファームで働いている。

震災当日は、産婦人科で妻とともにふたり目の子供の懐妊がわかった日と重なる。原発事故後、飯舘村の尋常ではない放射線量を知って千葉に緊急避難。その後、一家は山形県米沢(よねざわ)市に移り住み、片道1時間半をかけて出勤する。「子供が無事生まれたことが一番うれしかったね」と長谷川さんはほほ笑む。

独立も視野に入れているが、今は場所の候補が立たない。全村避難が今も続く故郷の飯舘村となると事態はさらに深刻だ。国からは2300億円の除染費用が下り、村長は飯舘の存続に必死だが、除染で農村地帯や酪農業がよみがえる保証はない。

「俺は飯舘には帰れないと思う。震災の後、まだ何も変わってないですよ。変わったことといえば、この2年間で俺らは避難生活に慣れて、放射能に慣れたくらいじゃないかな……」

長谷川さんの優しげな声が皮肉めいて聞こえた。

(取材・文/長谷川博一、撮影/野田雅也)

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