韓国政府のウォン安政策は限界に達している?

週プレNEWS / 2013年3月13日 12時0分

日本が円安・株高で企業の業績が上向きつつある一方、昨年6月から3割近くウォンは上昇し、すでに韓国の輸出産業は大打撃を受けている

円安・株高に大きく転換し、景気回復の兆しが見えつつある日本。一方で、お隣の韓国では円に対してウォンがジリジリ上昇している。この状況を警戒する韓国のメディアは「円安・ウォン高が韓国経済にとって脅威」と騒ぎ始めているという。

しかし先日、シャープに対する104億円の第三者割当増資を発表したばかりのサムスン電子などは絶好調のはずだが……。第一生命経済研究所の経済調査部主席エコノミスト、永濱利廣氏が最新の韓国経済事情を解説する。

「韓国経済を牽引する輸出産業と日本の輸出産業は競合している。これまで日本の輸出産業は円高で厳しい状況が続いていたわけですが、ドルに対して円安が進行し状況が好転している。一方、韓国の輸出産業は、円に対してウォン高になれば、そのまま日本にシェアを奪われることになります。つまりこれまでの日本と韓国の立場が逆転することになるわけです」

実際、韓国のシンクタンクの試算によると、円・ドルの為替レートが日本政府の想定どおり7%程度の円安・ドル高になれば、韓国の輸出は6%以上減少し、韓国企業は苦戦を強いられるという。

こうした状況について、信州大学経済学部の真壁昭夫教授は「これは韓国の経済政策が行き詰まった結果」と、次のように指摘する。

「韓国はこれまで財閥系の企業グループである現代(ヒュンダイ)、サムスン、LGのような企業が輸出をして儲るビジネスモデルで成功したわけです。輸出を振興するためには自国通貨は安いほうがいい。そのために、韓国政府は公式には認めないけれども、公然の事実として、為替介入をしてウォン安を維持してきた。そうして財閥系企業の輸出を振興したわけです」

つまり、これまでのウォン安は“ハリボテ”だったということ。それはいつから始まっていたのか?

「1997年にアジア通貨危機で、韓国がIMFの管理下に入ってウォンは半値ぐらいにまで下がり、それからウォンはあまり上がらなかった。その水準は“購買力平価”(同じ商品が他国ならいくらで買えるかを示す交換レート)と比較すると、2割安い状況が続いていた」(永濱氏)

通貨危機以降、ずっと政府が介入することで無理やりウォン安を作ってきた韓国政府。前出の真壁教授は、そのツケが今になって表面化していると語る。

「当然、弊害が出てくる。一部の財閥系大企業に勤める人の給料はどんどん上がっていく。ところが中小企業は、財閥系企業の下請け、孫請け、さらにその下請けです。彼らはウォン安の恩恵にあずかれない。財閥系企業の重役の年収は3000万円から4000万円。一方、中小企業の社員の年収は、その何十分の一ですから。その上、輸入物価が上がり、庶民の生活は苦しくなって不満の声はますます高まっている。すでに韓国政府が行なってきたウォン安政策は限界でしょう。経済政策を変えざるを得ないところに追い込まれているのです」

ウォン安に誘導できなかったことにより、韓国の輸出産業は厳しい局面を迎える。国民の不満も爆発寸前だ。

「要するに、実態から離れたウォン安政策を続けてきたことで、輸出関連産業に大きく依存した経済成長を遂げてきたのですが、国民の生活はそれほどよくならなかったというのが韓国経済の現実なのです」(永濱氏)

このままウォン安が深刻化すれば、輸出産業が牽引し好調だった韓国経済が奈落の底まで落ちていく可能性も否定できないのだ。

(取材・文/鈴木英介)

■週刊プレイボーイ12号「崩壊寸前の韓国経済に打つ手なし!?」より

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