空前の“カバーブーム”に沸く、音楽業界の「舞台裏」

週プレNEWS / 2013年3月15日 6時0分

世は空前のカバーブーム。だが、その中にはとんでもない“迷曲”も存在する……?

音楽業界が不況に悩むなか、有名ミュージシャンによる「カバーアルバム」が頻繁に発売されている。今月も河口恭吾が昭和をコンセプトにしたカバーアルバムをリリースしたり、Charaらが奥田民生とユニコーンの曲をカバーしたアルバムがリリースするなど、その数は枚挙にいとまがない。

特にカバーものが多いジャンルとして挙げられるのが、アイドルソングとアニメソング。最近でも、テレビアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』で、声優たちがZONEの『secret base~君がくれたもの~』をエンディングテーマとして歌い、オリコントップ10入りを果たした。

自ら声優のカバーアルバムもプロデュースしているやまけん氏は、カバーにまつわる業界の「舞台裏」をこう解説する。

「昔はもっとたくさんカバー曲が売られてましたよ。よく好きなアニメの曲が入ったソノシートを買ったら、全然違う人が歌うパチもんみたいなカバー曲が入ってたり(笑)。ちゃんと許可を取っていたのかわかりませんが、当時は、JASRACに使用料を払いさえすれば簡単にカバーできたんですね。でも、アーティストサイドにも正式に許可を取らないといけない『著作隣接権』というものにここ数年はうるさくなってきて、簡単にカバーできなくなったんです。原曲のイメージを損なうようなめちゃくちゃなアレンジもやりづらくなりますから」

一方で、そんな細かいことを気にしないミュージシャンもいる。元オリコン編集長にしてバンド「オナニーマシーン」を率いるイノマー氏が語る。

「今は“リスペクト”とか“トリビュート”っていう便利な言葉がありますからね。海外のビッグアーティストの曲をこそっとカバーしても、『リスペクトです』と言っとけば怒られないでしょう」

そんなイノマー氏には、どうしても語りたいカバーアルバムがあるという。

「ちゃんと許可を取ってカバーしてるのに大惨事になってるものって多いですよね。例えば、つるの剛士の『つるのうた』っていうアルバム。プリプリの『M』や浜田省吾の『君に会うまでは』など、そうそうたる曲が並んでいるんですが、残念ながら大して歌がうまくない(笑)。僕はこれを“勇気あるカバー”と呼びたいです。プロのミュージシャンや評論家は、批判すらできないと思いますよ。だって、こんなものに目くじら立ててたら、こっちの見識が疑われますから」

とはいえ、『つるのうた』はオリコン週間チャート1位を獲得。カバー曲が、低迷する音楽業界にあって数少ない“売れる”企画であることを証明した。今後も微妙なカバーソングは、量産されていくだろう。

(取材・文/西中賢治 撮影/五十嵐和博)

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