知っておくべき「北朝鮮キーワード」とその意味

週プレNEWS / 2013年4月16日 14時0分

弾道ミサイル発射の構えを見せるなど軍事挑発を続ける北朝鮮だが、その言葉遣いは耳慣れないものばかりだ。

北朝鮮専門のニュースサイト、『デイリーNK』の高英起(コウ・ヨンギ)東京支局長もうなずく。

「もともと特殊な言い回しが目立っていた北朝鮮の軍事用語ですが、金正恩(キム・ジョンウン)時代になって、さらに新しい言い回しが登場するようになりました」

というわけで、最近、新聞やテレビをにぎわす北朝鮮の軍事ワードを、高氏に解説してもらった。

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【戦略ロケット軍部隊】




ミサイル・核開発を急ピッチで進める北朝鮮。その動きに伴い、ここ1、2年頻出するようになったのがこのワード。

「北朝鮮が誇る野戦砲兵軍集団に所属する精鋭部隊で、長・中距離ミサイルだけでなく、弾道ミサイルも保有しています。先軍政治(軍事がすべてにおいて優先される政治体制)を進める金正恩が長期的なビジョンの下、整備しただけあって、部隊という名称ながらその規模は軍団級(数万から数十万)です」

【一号戦闘勤務態勢】




3月26日、朝鮮人民軍最高司令部の声明で浮上した軍事ワード。アメリカ本土や韓国、ハワイなどの米軍基地へのミサイル攻撃を示唆しながら、前出の戦略ロケット軍部隊などを「一号戦闘勤務態勢に突入させる」とぶち上げたのだ。

韓国政府当局者によれば、この軍事ワードは初出。金正日(キム・ジョンイル)時代にもなかった表現だという。

「北朝鮮では『一号』とは最高指導者に関するものを意味します。例えば、『一号写真』といえば、故・金日成(キム・イルソン)、故・金正日、金正恩が写っている写真や肖像画、同じように『一号列車』は3人の専用列車、『一号行事』は3人の誕生日祝賀行事のことです。

昨年、北朝鮮のある都市で火災が起こり、小学生が『一号写真』を持ち出そうと火中に飛び込み、焼死してしまうという事故がありました。この小学生はその後、『一号写真』を命を投げ出して守ろうとしたと称賛され、最高位の勲章である『共和国英雄称号』を授与されたほどです。北朝鮮では『一号』という言葉はそれほどの重みのあるものなのです」

こうしたケースから考えると、

「一号戦闘勤務態勢」とは金正恩自らが発した命令を指すと考えられる。それだけに北朝鮮将兵にとっては単なる軍令以上の命令、聖なる命令を意味するのだ。

【暴風軍団】




北朝鮮最精鋭の特殊部隊、第11軍団の別称。

軍団長は金正恩とともに朝鮮労働党中央軍事委員会にメンバー入りした崔(チェ)ギョンソン上将とされている。

「韓国への奇襲作戦が主任務ですが、北朝鮮国内に蔓延する韓流ブームを摘発するため、中朝国境地帯に出張り、摘発作戦を手がけたこともあります。金正恩の信頼も厚く、親衛隊の役割も果たしています」

【偵察総局】




北朝鮮最大の軍事諜報機関で、正式名は「朝鮮人民軍総参謀部偵察総局」。2009年、2010年の組織改変で、朝鮮労働党の諜報機関であった「作戦部」や「35号室」が統合されて発足した。

対韓国、日本、第三国への浸透や情報偵察に加え、破壊・テロ活動もこなすなど、その任務は多岐にわたっている。

「日本人を拉致した偵察部も現在はこのセクションに統合されています。北朝鮮軍は部門別に外貨稼ぎをしているのですが、別の部隊が外貨稼ぎのライバルになっているとみるや、その機密情報を韓国の国家情報院に流してつぶしてしまうほど、偵察総局はえげつない(笑)。間違いなく北朝鮮軍最恐のセクションです」

【無慈悲】




北朝鮮の声明に多用される言い回し。代表例は「無慈悲な鉄槌(てっつい)」「無慈悲に粉砕」「無慈悲に殲滅(せんめつ)」など。

「ほかにも『際限のない報復打撃』『この世の誰も体験したことのない最も厳しい懲罰』という表現もあります。これらの威嚇の締め言葉は『われわれは戯言(ざれごと)を口にしない』。いずれも北朝鮮独特のレトリックにすぎず、特別な意味はありません。一種の枕詞(まくらことば)であり、彼らにとっての“様式美”とでも考えればよいでしょう」

北朝鮮が使用する言葉はとにかく、威勢だけはよい。“なんだかスゴいことになりそう”で終わればいいのだが、果たして……。

(取材・文/週プレ「北朝鮮取材班」)

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