東京でオーロラが見えると地球の磁気圏が吹き飛ぶ?

週プレNEWS / 2013年4月25日 18時0分

太陽の活動がピークに達する5月、大量の放射線や電磁波を地球にもたらす“太陽嵐”(ソーラーストーム)が放出される可能性がNASA(米航空宇宙局)から指摘されている。

太陽は“自然の核融合炉”と称されるように、常に核融合が発生し、電気を帯びた熱いガスを放出している。それらの有害な物質を受け止める、大気圏や磁気圏といった地球のバリアのほころびを突いて侵入してきたソーラーストームは、地球にさまざまな影響を及ぼすことになる。 “宇宙の気象庁”とでもいうべき独立行政法人・情報通信研究機構(NICT)の石井守博士が解説する。

「一番わかりやすいのは、北極や南極の上空60kmから500kmの“電離圏”と呼ばれる電気を帯びた大気に電流が流れて、オーロラが発生することです」

太陽から発せられる電磁波は強力なため、実際に被害が出ることも多い。

「オーロラが出ると、それに触発されるようにして地面に電流が流れる。そこにたまたま長い送電線があったりすると、変電所のトランス(変圧器)が焼けてしまうこともあります」(石井博士)

もし強力なソーラーストームが発生した場合、日本でもさまざまな影響が予想されると石井博士は言う。

「日本で変電所のトラブルが起きたことはありません。基本的にはオーロラの出るような北極や南極のそばで発生することが多いためです。しかし、東日本大震災以降、科学の世界では、『想定外のこともキチンと想定しなくてはいけない』という機運が高まっています。それこそ1000年に一度起きるかどうかというレベルの“スーパーフレア”(太陽面での巨大な爆発)が発生したら、何が起こるのか考えましょう、ということです。どんな事態が想定されるかというと、地球の磁気圏が吹っ飛ぶこともあり得ます」

もし本当に磁気圏が吹き飛べば、地球にもたらされる被害は甚大な規模になる。

「磁場はありますから、磁気圏がすごく圧縮されてしまって、オーロラが低緯度でも見られるようになる。東京でも見ることができるかも。そのとき、極域は宇宙と直接つながってしまい、それこそ被曝に近いことが起きる。今の段階では地上にどれだけ電流が流れて、送電線網にどれだけ影響を及ぼすことになるかまでは計算できていませんが……」(石井博士)

例えば、日本の送電網がソーラーストームにより破壊されて、大規模な停電が起きることも考えられる。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏は「その場合、電力への依存率が圧倒的に高い首都圏のほうが、影響は深刻になる」という。

「首都直下型地震が発生すれば517万人から989万人が身動きが取れなくなるといわれていますが、首都圏が停電した場合、まったく同様のことが起きるでしょう。停電が発生する時間帯により、3.11のときと同じように帰宅困難者が大量に出る。そういう人たちが水や食料を求めてさまようことになります。電車などの交通インフラも物流も止まり、物資が入ってこなくなる。そんな状態になると、人々は不安になって、スーパーやコンビニの飲み物や食べ物を買い占めてしまう」

送電網が破壊されれば、復旧にもかなり時間がかかってしまう。

「あまり報道されていませんが、東日本大震災のとき、東北の避難所では水や食料の奪い合いがすごかった。コンビニやスーパーも荒らされていました。停電の期間が長期になればなるほど、そういったパニックのリスクが高まる」(和田氏)

東京でオーロラが見えたら素敵……などとロマンティックなことを言っている場合ではないのだ。

(取材・文/鈴木英介)

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