注水牛肉に痩肉精豚……中国「食肉偽装」のヒドすぎる実態

週プレNEWS / 2013年5月20日 18時0分

5月3日付の中国紙『新京報』によれば、中国公安当局は食肉偽装に関する2010件もの大規模摘発を敢行したと発表。「闇工場」「闇工房」「闇市場」など1721ヵ所を発見し、偽装羊肉などを販売していた容疑者など3576人を拘束、2万トンにも及ぶ偽装肉製品を押収したという。

「中国食品=危険」はもはや定説だが、それにしても信じ難いほど大規模な食肉偽装の実態。中国の食品事情に詳しいジャーナリストの戴世煜氏が語る。

「2007年には“段ボール肉まん”が話題になりましたが、食肉偽装は中国の誇る伝統技能(苦笑)。より難易度の高い新技が日々開発され、レベルアップしているということでしょう」

その実態はこうだ。

「最もベーシックなのは水で増量された牛肉、通称“注水牛肉”ですね。水分量を増やすことで肉の重さを増し、利益を上げる。一流の注水職人ともなると、実に全重量の80%以上を水にするという匠のワザを持っています。このみずみずしい牛肉は、少しでも圧がかかると水がにじみ出すので、家に持ち帰る頃にはカバンが水びたし、食感はベチョベチョ、しかも腐りやすいと、消費者側から見れば三拍子そろった粗悪品です」(戴氏)

常識では考えられないような食品だが、どうやって作っているのか?

「まず牛を処理する際、電気ショックを少し弱めにし、仮死状態で血抜きを行なうのと同時進行で頸動脈にホースを突っ込み、ポンプで一気に水を送るのです。普通は1回の注入で150リットルくらいが限界ですが、一流職人なら300リットルまでいけるそうです。こだわりの職人になると、水に中古タイヤを粉末にしたものを混ぜて肉の保水性を高めたり、腐敗を遅らせるために防腐剤を混ぜます」(戴氏)

念のため確認しておくと、肉を文字どおり“水増し”する注水牛肉はもちろん中国でも違法。今年3月には、湖南省永州市で注水牛肉を作っていた食肉処理場関係者13人に最長で懲役1年の有罪判決が出ている。

「摘発された業者は、より大量の水を全身に送り込むため、ホースを牛の頸動脈ではなく心臓に直接突っ込んで注水していたようです。さすがに水っぽすぎるということで消費者が公安に通報したそうですが、何事もやりすぎはよくないという教訓ですね」(戴氏)牛肉より庶民にとって身近な豚肉でも、偽装は横行している。

「中国の養豚場では、塩酸クレンブテロールなどを含む『痩肉精』という成長促進剤を使用しているケースが多い。これをエサに混ぜて豚に投与すれば赤身肉の量が劇的に増えて太るのですが、人間が摂取すると筋肉増強剤となります。アスリートにとっては大変危ない食品です」(戴氏)

そのため、うかつに食べるとドーピング検査に引っかかる可能性がある。

「大事な国際大会が近づくと、中国国家体育総局は選手たちに“豚肉禁止令”を申し渡します(苦笑)。実際、2010年には北京五輪女子柔道金メダリストのトウ・ブン選手からクレンブテロールが検出されたり(提訴して処分撤回)、中国で大会に出場したドイツ人卓球選手から薬剤反応が出た(処分回避)ケースもあります」(戴氏)

付け加えると、成長促進剤の過剰摂取は呼吸困難などを引き起こすリスクが高いという。アスリート以外の一般人も、気をつけなければならない中国食肉事情。その危険性は、高まる一方だ。

(取材・文/近兼拓史)

■週刊プレイボーイ22号「これが中国伝統の『錬“肉”術』アルヨ!!」より

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