セルジオ越後の一蹴両断! 第306回「偉大なるファーガソン。今後、彼のような監督が出てくることはない!」

週プレNEWS / 2013年5月23日 15時0分

イングランドのマンチェスター・U(ユナイテッド)のファーガソン監督(71歳)が今季限りでの退任を発表した。年齢も年齢だし、いずれこういうときが来るだろうとは思っていたけど、実際にそうなると寂しいものだね。

名門マンUを率いた27年の間に、プレミアリーグはもちろん、クラブW杯なども含めれば計38個ものタイトルを獲得。これほど長い期間、第一線で結果を出し続けてきた監督はほかにいない。誰もが認めるカリスマだ。

特に手腕を発揮したのは育成面。移籍市場にただ大金を投じるのではなく、ベッカムやギグス、スコールズらクラブ生え抜きの若手を積極的に起用。また、無名の若手だったC(クリステイアーノ)・ロナウドにいち早く目をつけて獲得するなど、多くの一流選手を育て上げてきた。

さらに彼がすごいのは、ただ与えられたチームを率いるだけでなく、クラブ全体のマネジメントまでこなしたこと。昔、取材でマンUを訪れたとき、チーム関係者が「ファーガソンはただの監督ではなくフロントでもある」という趣旨の発言をしていた。つまり、フロントからクビを切られる立場の人間ではなく、選手やスタッフのクビを切る立場の人間だということ。

わかりやすくたとえるなら、プロ野球の巨人のナベツネさん(渡邉恒雄球団会長)と、長嶋さん(終身名誉監督)を足したような存在かな。

実際、練習を仕切っていたのは優秀なコーチ陣だと聞く。また、ベッカム、ファン・ニステルローイ、C・ロナウドといった看板選手でも、規律を乱せば容赦なくチームから追い出す。そして、自らのコネクションを利用して、代わりとなる選手を連れてくる。逆らうやつはクビ。徹底的にチームを自分のコントロール下に置くんだ。




対外的にもその姿勢は変わらない。彼に目をつけられた記者はまともに取材ができなくなるというし、ストレートな発言でライバルチームの監督に舌戦を仕掛け、審判ににらみを利かせた。そのせいで、「マンUが負けている試合はなぜか後半ロスタイムが長い」という皮肉を言われたりもした。

当然、敵も多かったと思うけど、彼はそれを上回る力とタフさを持っていた。だから、クセのある一流選手たちもついてきたし、ファンからも絶大な支持を受けた。偉大な監督であり、偉大な権力者。今後、彼のような監督が出てくることはないだろうね。あの強烈なリーダーシップがあれば、ビジネスの世界でも、政治の世界でも成功できたんじゃないかな。

そんな彼の姿をピッチで見られなくなるのは寂しいことだけど、フロントとしてチームに残るそうだから、自らが推薦したといわれる後任のモイーズ監督のサポートなど、チームに大きな影響力を持ち続けるのだろう。

ただ、今後のマンUはちょっと大変かもしれない。モイーズは実績のある監督とはいえ、ファーガソンと比べれば小粒。少しでも負けが込めば、「マンUの監督にはふさわしくない」と批判される。また、ギグス、ファーディナンド、ヴィディッチら長年チームを支えてきた主力の高齢化の問題もある。

世界に類を見ない長期政権の弊害が出るのか、それともファーガソンの残したものが受け継がれるのか、香川の活躍も含めて、来季のマンUにはますます注目だね。

(構成/渡辺達也)

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