秩父の宿坊「太陽寺」お泊まり修行で魂を洗え

週プレNEWS / 2013年6月15日 6時0分

江戸時代中期に建て替えられた太陽寺の本堂。江戸時代の建物に宿泊する経験からしてめったにできないことで、歴史を体感できる

自分を見つめ、イチから鍛え直す「修行」が今、ブームとなっている。そんななか、写経に読経、座禅……と初心者にも入りやすい修行をひととおり体験できる、奥秩父の標高800mに立つ古寺・太陽寺へ向かった。旅情もそそる素晴らしい環境のなか、自分を見つめ直す効果は想像以上だ!

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埼玉県秩父市の山奥に、こんなお寺があったとは! 秩父といえば、修験道の開祖・役小角(えんの・おづぬ)と所縁(ゆかり)があり、霊山で知られる三峯(みつみね)神社も有名。だがこちらは秩父鉄道三峰口駅よりバス、さらに徒歩で2時間! ほぼ秘境?に立つ太陽寺(たいようじ)は、到着した瞬間に毒気が抜け心は澄み渡る自然に囲まれたロケーション。都内で見たら絶対に叫ぶ天井の隅にいた大きな蜘蛛すら許容し、徐々に自然と調和していく自分を感じ体もリラックス。

浅見宗達(あさみ・そうたつ)住職いわく、訪れる人々は「閉塞感を感じ、自分の中で殻を破りたい思いもチラリと見えるときがありますね」と、ただ好奇心や変わった体験をしたくて来るのではないことを看破。確かに、それを大きく期待させる環境だけれど、実際にこの場に身を置くとそんな世俗的なことすら考えるのがなんだかくだらなく思える。

近隣に民家はなく、現代における最高の便利品・携帯電話が圏外でハンパない解放感。夜は満天の星々が輝き、虫の音や鹿がキュウンと鳴く声以外に人工的な音は何ひとつしない。こんな環境で写経や座禅などを行ないひと晩でも過ごすのは、普通の旅行とは違い、まさに魂の洗濯。翌日、携帯が圏内に戻ったときのがっくり感ったら本当なかったよ(泣)。

【修行スケジュール】




●1日目




15:30 太陽寺到着




16:00 写経開始




18:30 夕食




19:40 法話




*入浴は住職手作りの露天風呂。到着直後に入浴し世俗の垢を落とす人も多いそう。夜の自由時間に満天の星を堪能してもよし!

●2日目




6:45 読経




7:30 座禅




8:30 朝食




10:30 世俗へ戻る




*早起きをすれば秩父の山々の間から昇る太陽が拝める。木々に囲まれる太陽寺に朝日が当たった光景は、素晴らしく荘厳。朝食後は周辺を散策して大自然を満喫する人も多いそう














【写経】




お手本の般若心経の上に半紙を置き、文字をなぞる写経。縁側で雄大な自然を前に正座で。「集中するうちにふとわれを忘れるときがあります。写経とは、この無我を体感することです」(浅見住職)。終わって気づけば、日は暮れヒンヤリした風が……。無我の境地に少しは達したのか頭がスッキリ




【読経】




朝と夜に20分ほどのおつとめがある。「間違ってもいいから声を出してください」と住職から言われ、「摩訶般若波羅蜜多心経(まかはんにゃはらみたしんぎょう)」「白隠禅師座禅和讃(はくいんぜんじざぜんわさん)」などを初読経。声を張ったら体からパワーがわいてきた




【精進料理】




沢で採ってきた山菜や秩父のコンニャクなど地ものを使った手作りの品が並ぶ。素材を無駄にせず、ふろふき大根の昆布出汁(だし)をけんちん汁に使う調理法を聞き、普段の飽食を反省して“いただく”を実感しながら食べた。朝食は縁側で




【座禅】




禅堂にて。廊下を歩くときの作法に始まり、足の組み方などを教えてもらい、10分座禅を組んだら休憩を挟むため初心者でも安心。警策で叩いていただき、計20分を道場で行なった後は、朝食まで廊下でおのおの自由に座禅を組む。眼下に広がる木々の青さ、爽やかな風のなかでの座禅は心も澄み、なんて贅沢!




【法話】




夕食後に本堂で。この夜は質問を受ける形式で行なわれたため、遠慮なく「読経や写経から受ける効果は?」と聞く。「何かを得るためではなく自分の中のいらないものを取り去るために行なうことです」と浅見住職。ゴモットモでございます……




●大日向山(おおひなたさん) 太陽寺




浅見宗達住職




東京でのサラリーマン生活を経て前住職の祖父から引き継ぐ。檀家はわずか30軒ほどで経営難に陥っていた太陽寺を宿坊にし再建を果たす。太陽寺は鎌倉末期に開山された臨済宗建長寺派の禅寺。埼玉県秩父市大滝459 TEL0494-54-0296 1泊2食9000円~【http://www.taiyoji.com】




(取材・文/渡邉裕美 撮影/五十嵐和博)

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