北朝鮮が狙う「原発テロ」の恐怖

週プレNEWS / 2013年6月14日 10時0分

北朝鮮が対韓国開戦直前に日本の原子力発電所を対象とした自爆テロを計画し、訓練も行なっていたことが、脱北した朝鮮人民軍元幹部らの複数の証言で明らかになった。

元幹部によれば、原発をターゲットとする理由は「広範囲に放射能が拡散することで厭戦ムードが広がり、日米韓の戦意を削ぐ」こと。この計画は1990年代に本格化し、「対日」「対韓国」にそれぞれ600人の特殊部隊が編成された。

これは単なる机上の作戦ではなく、在日・在韓の協力者が毎年、施設周辺を撮影して情報を更新。時には特殊工作員も潜水艇で日本に極秘上陸し、原発施設内部の情報を収集しており、1994年には日本近海での実戦訓練中に事故死した工作員に「共和国英雄」の称号が与えられたという。朝鮮半島情報専門誌『コリア・レポート』の辺真一(ピョン・ジンイル)編集長は、計画の現実性をこう語る。

「北朝鮮は今後も“瀬戸際外交” を続ける可能性が高いですが、もし日米韓からこれ以上得るものがないと判断すれば、いずれは中・長距離ミサイルを発射しようとする。その場合、アメリカが北朝鮮に先制攻撃を仕掛けることも十分に考えられます。そうなれば当然、北からの日韓への反撃が予想され、ミサイルだけでなく工作員が日本の原発を狙いに来ることも現実味を帯びてきます」

地理的な条件を考えると、テロのターゲットとなる可能性が高いのは日本海沿岸の原発。現在、福井県・大飯原発の3、4号機以外は停止中だが、原発問題に詳しいジャーナリストの田中龍作氏は「停止中でも危険は十分にある」という。

「原子炉は厚い格納容器に覆われており直接の攻撃は難しいですが、問題は原子炉建屋や上部の外壁のすぐ内側にある使用済み核燃料貯蔵プール。ここをテロリストに直接狙われて冷却水がなくなったり、冷却のための電源が失われれば、燃料棒の金属被覆(ジルコニウム)の温度が上がって火災が発生し、放射性物質を撒き散らすことになります」

工作員の偵察や内部協力者の情報提供によって、こうした原発の構造、施設内の位置関係はすでに筒抜けと見て間違いない。

「使用済みと未使用の燃料棒が合わせて1500本ある福島第一原発の4号機で試算した場合、プールで火災が発生するとチェルノブイリ原発事故の約10倍のセシウム137が放出され、半径250km以内は避難対象、同170km以内は強制移住となる。大変深刻な事態です」(田中氏)

では、日本の原発の警備体制はどうなっているのか?

「各県警の機動隊が『原子力関連施設警戒隊』を編成し、約16名ずつを交代で配備。隊長は拳銃、2名は狙撃用ライフル、残りは短機関銃を持っています。ただし、拳銃以外の訓練は十分とは言い難く、2011年7月には佐賀県・玄海原発の警備隊員が短機関銃の暴発事故を起こしている。正直言って、SAT(警察特殊部隊)やSST(海上保安庁特殊警備隊)が到着するまでの時間稼ぎといったところです」(警察関係者)

核ミサイルを使わずとも日本に放射能汚染を広げ、最悪の事態を引き起こす原発テロ。果たして現在の警備体制で原発を守れるのか、不安は尽きない。

(取材・文/本誌軍事班[協力/世良光弘、小峯隆生])

■週刊プレイボーイ25号「北朝鮮『日本海沿岸原発テロ』戦慄シミュレーション」より

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