au版iPhone5が“パケ詰まり”するワケ

週プレNEWS / 2013年7月5日 6時0分

ネット接続に時間のかかる“パケ詰まり”が多発しているとされたau版iPhone5。改善は難しい?

ある民間機関が6月中旬、東京のJR山手線6駅でLTE対応スマホのネット接続調査を行なった。使用したのは大手3キャリアの代表的アンドロイド端末各1機と、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル(SBM)両社のiPhone5の計5機種。

その調査で意外な結果が出た。ネットにつながりにくい状態のいわゆる“パケット詰まり(パケ詰まり)”が起こる確率が最も高かったのは、au版iPhone5だったのである。

auといえば、充実した通信インフラに支えられた“つながりやすさ”が売りのキャリアだったはず。なのに、どうして同社のiPhone5はパケ詰まりを起こしやすいのか? 携帯電話ライターの佐野正弘氏が教えてくれた。

「auはもともと自社のメイン周波数である800MHz帯域で、アンドロイド機も含めたLTE通信網を構築しようとしていた。ところが、iPhone5は端末の仕様上、日本では2GHz帯でしかLTE通信できないことが、発売直前になって判明したのです」

auは2GHz帯の周波数も持っていたが、当初LTE通信には対応していなかった。

「そこで2GHz帯でのLTE通信網を突貫工事で作り上げました。しかも、800MHz帯でさえ、LTEサービス開始は昨年11月からだったのに、iPhone5のLTE通信は、端末の発売に合わせて9月に前倒ししたのです。だから、2GHz帯がまだ整備途上で、しわ寄せはパケ詰まりとなって現れたのです」(佐野氏)

一方、昨年前半までのSBMは2GHz帯と1.5GHz帯しか持っていなかったため、最初から2GHz帯でLTEの準備を進めていた。だから、同じ帯域を使うiPhone5がうまくハマり、LTEサービス開始当初からスムーズにつながっていたわけだ。しかも、このところ通信インフラ整備に力を入れているSBMは、ネット上で同社ユーザーがこぼすパケ詰まりへの苦情をこまめにチェックしている。

「そうやって、どの場所でパケ詰まりが起こっているかを洗い出し、特に東京都心部で重点的に“ネガ潰し”をしてきたからこそ、今回の調査でau版を凌駕できたのでしょう」(佐野氏)




つまりは敗れるべくして敗れたauだが、早急に現状が改善される見込みはあるのだろうか?

「当然です。今年4月、5月の大規模な通信・通話障害でブランドイメージに傷がついたauにとって、今回発表された調査結果は泣きっ面にハチ。相当な危機感を持っているでしょうから、このままの状態で放置しておくはずがない」

そう語るのはジャーナリストの石川温(つつむ)氏だ。それを裏づけるように、auはさらなる通信インフラ整備充実のため、新たに300億円を追加投入し、信頼回復に努めることを表明。今秋にはiPhone「5S」の発売が濃厚なので、同社としてはなんとしても最短期間で汚名返上し、セールスへの悪影響を食い止めたいところだ。

その意味では、実はiPhone5Sという新端末自体が、パケ詰まり解消への強力な援軍となるかもしれないのだという。

「キャリアとしてネットワーク技術の知識が豊富なauにはアップルも一目置いています。基本的に外部の意見を聞かないアップルですが、auの言うことには耳を傾ける。次期5SのLTE通信が自社のメイン周波数である800MHz帯にも対応するよう、auがリクエストを出していて、アップルがその要望を受け端末に反映させる、という可能性は非常に高いと見ていい」(石川氏)

それを裏づける状況証拠もそろっている。

「auの田中孝司社長に『iPhone5SのLTEは、800MHz帯に対応するのですか?』とカマをかけると、にっこり笑って否定も肯定もしない。しかも、彼は最近、『今後出るau端末のLTEは、すべて800MHz帯対応です』とも発言している。だとすれば、iPhone5Sでは800MHz帯も使えると考えるのが自然でしょう」(石川氏)

800MHz帯はプラチナバンドとも呼ばれるように、2GHz帯よりつながりやすい電波特性を持つ。今回のLTE通信調査では一敗地にまみれたau版iPhone5だが、秋に出るとされるiPhone5Sが800MHz帯に対応していれば、理論上はSBMを一気に逆転できることになる。

果たして、“パケ詰まり・秋の陣”ではauとSBM、どちらに軍配が上がるのか?

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