マリオの生みの親、任天堂・宮本茂の制作秘話「マリオやカメを方眼紙に描いて作ってたんです!」

週プレNEWS / 2013年7月22日 16時0分

「ゲームしてる人はもちろん、隣でのぞき込んでる人にもわかるゲーム作りを心がけてる」と宮本茂氏

『ドンキーコング』や『マリオ』『ゼルダ』シリーズなど、数々の国民的ゲームやスターキャラを生んだ任天堂の宮本茂氏。

今年でファミコン誕生30周年を記念して、宮本氏の昔も今も変わらないゲーム作りへの思い、そして最新作WiiU『ピクミン3』について、アツく語ってもらった。

***

―最新作のお話の前に、ファミコントークを! そもそも宮本さんはファミコン本体の開発にも関わっていたのですか?

宮本 はい。ファミコン開発が始まった81年当時はアーケードゲームを作りながらファミコン開発にも意見していました。当時はいかにアーケードに近い性能を見せるかに注力しており、「こうしたほうがよく見えるんじゃないか」とか。

―本体デザインにもご意見を?

宮本 いえ、僕はアーケードゲームの筺体(きようたい)デザインや絵は描いてましたが、ファミコンは別の設計担当がやっていましたね。

―開発兼デザインですか!?

宮本 今ほど分業制じゃなかったんでね。イタリアに出荷する筺体のコイン投入口をリラ用に作り変えたり、ゲームセンターの飾りつけやポスター張りもしましたよ。

-開発者の仕事ですらない!

宮本 いろんな経験をしたおかげで学んだことも多いですよ。パンフ作りで印刷も学んだし、僕が方眼紙に描いたマリオやドンキーはプログラマがコード変換して動かすんですが、やり方を教わって自ら打ち直すようになったり。

-プログラムまでっ!

宮本 データだけですけどね。そのうち方眼紙を見ながらコードに打ち替えるのが面倒ってことで、簡単にコード変換できる道具を技術担当が作ってくれたりして。当時は開発に必要なものは手作りしたんです。




-この30年で宮本さんのゲーム作りの姿勢に変化は……?

宮本 まずは“こんなゲーム”という骨組みがしっかりあって、それに合った世界観を作り上げる。これは昔も今も変わらないし、「シンプルで深いゲームを作る」ことも変わらない。最新作でいえば、まさにWiiU『ピクミン3』がそういうゲームなんですけどね(笑)。

-どんなゲームなんですか?

宮本 危険な原生生物がうごめく星を舞台に、100匹のAI(人工知能)を持ったピクミンという生物に指示を出し、敵や障害物を突破して道を切り開くゲームです。

-これまでの作品との違いは?

宮本 まず画面がHDの高解像度になり、背景はもちろんピクミンのかわいらしいしぐさもハッキリ見えるようになりました。小さな森のジオラマをのぞいているような。またWiiリモコンとヌンチャク(コントローラー)の操作性も抜群に良くなりピクミンを一点集中で投げることも可能になりました。WiiUのゲームパッド上にマップを表示させて進められるので、ゲーム進行もよりスムーズです。

-では『ピクミン3』はどのように“シンプル”で“深い”?

宮本 まずシンプルさでいえば、プレイヤーはピクミンに指示を出すだけで、あとは動く彼らを見ているだけでOKなところです。“深い”ところは『ピクミン』って段取りのゲームなんです。この壁を壊すのに何匹のピクミンを使って、この原生生物を倒すのに何匹使って……って、いくつもの作業を同時並行で的確にこなすという。

-プレイヤーは現場監督のような立場でしょうか。

宮本 そう。最初は大勢のピクミンに指示を出すのに不慣れでも、場数をこなすことで慣れ、現場監督としてスキルアップするんです。

-やれば仕事の効率も上がると!

宮本 そうですね、作業を同時並行させる段取りの習慣が身につくかもしれませんね。

-ってことは、これを作った宮本さんの仕事の効率はさぞかしいいということでしょうか?

宮本 あ、僕の仕事の効率は悪い(笑)。だから効率上げに憧れるんです。『脳トレ』の川島教授も「男も料理をして脳を活性化させましょう」と言っているように、段取りする『ピクミン3』をやればボケ防止にもつながるかも……。子供や大人はもちろんお年寄りまで、皆さんで楽しめますよ!

(取材・文/河合桃子 撮影/松村ジュンイチ)

●宮本茂(みやもと・しげる)




任天堂株式会社、専務取締役、情報開発本部長。『ドンキーコング』や『マリオ』『ゼルダ』シリーズなどの生みの親。最新作ではWiiU『ピクミン3』のディレクター職に近い形で制作現場に深く関わる。

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