アメリカが壊したい日本の“非関税障壁”とは?

週プレNEWS / 2013年8月7日 6時0分

先月マレーシアで開催された会合で、初めてTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉に臨んだ日本。メディアが主に報じているのは農産物5品目に関する交渉の経過だが、“アメリカと日本”という視点で眺めると、TPPの問題はもっと大きなテーマが浮上してくる。

『エコノミストは信用できるか』『TPP 黒い条約』(共著)などの著書があるジャーナリストの東谷暁氏が警告する。

「TPPでアメリカが狙っているのはお米など、農産品の関税をゼロにして自国産品の輸出を増やすことだと考えている人がほとんどですが、そうではありません。アメリカの真の狙いはいわゆる“非関税障壁”。これを排除して、参加国の制度を変え、金融や保険のサービス、さらには知的財産権などの分野で優位に立ち、自国の企業が稼ぎやすくなるようにしているのです。

非関税障壁とは輸入数制限や国内の基準など、関税以外で輸入を抑える仕組みやシステムのこと。関税を利用せずに外国からの輸入をストップさせる壁になることから、そう呼ばれる。具体的には食品や建築などの安全基準、税制や補助金、知的財産権保護や薬品承認のルールなどがこれに当たる。

これまでシンガポール、ペルー、マレーシアで開かれたTPP交渉のステークホルダー(利害関係者)会合に参加したアジア太平洋資料センターの内田聖子事務局長もうなずく。

「アメリカの狙いは間違いなく、参加国の非関税障壁の撤廃にあります。その証拠に、ステークホルダー会合にはファイザー、フェデックス、タイムワーナーといった一見、物品のやりとりをする貿易ビジネスとは無関係に思える米企業が大挙して参加し、各国の交渉官に猛烈なプレゼンを繰り広げています」

ファイザーは世界有数の薬品会社、フェデックスは国際的な航空貨物の運送会社、そしてタイムワーナーは映画などのコンテンツ制作で知られる。

「ファイザーはTPP参加国によるジェネリック薬品(新薬の特許が切れた後に、安価に製造される同じ成分の薬のこと)の使用を封じ込めるため、特許期間がより長くなるよう圧力をかけているんです。フェデックスは煩雑な輸出入手続きや国際宅配便規格などを共通化することによって国際配送ビジネスを牛耳りたい。タイムワーナーの目的は、自社コンテンツの著作権期限を大幅に延長し、収益を確保したいのでしょう。なかでも交渉国でずば抜けて市場規模の大きい日本は絶好のターゲットとなっています」(経産省関係者)

もしこれが事実なら、TPPは「聖域なき関税ゼロを掲げた世界で最も高いレベルの自由貿易協定」という売り文句はまったくの大ボラということになる。その実態は「アメリカの、アメリカによる、アメリカのための保護貿易協定」にすぎない。

■週刊プレイボーイ33・34号「アメリカが“ぶっ壊したい”日本の非関税障壁を徹底解説!!」より

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