“経験のない大雨”直撃も、京都・嵐山で急ピッチの復旧ができたワケ

週プレNEWS / 2013年9月28日 6時0分

水没寸前にまでなった嵐山の渡月橋。水は翌日には引いたものの、付近には大量のゴミや流木が

京都有数の観光名所、嵐山の渡月橋(とげつきょう)が濁流にのみ込まれたシーンを見て、「ああ、秋の観光シーズン前だけに大打撃だろうな」と思った人は多かったはず。

何しろ台風18号による“これまでに経験したことのないような大雨”で、京都府内17の観測地点のうち、9地点で観測史上最大の雨量が計測されたのだ。

特に、渡月橋のある桂川の上流の園部地区では、9月平均の月間雨量132・9mmの2倍以上となる285mmもの大雨がわずか一日で降り注いだ。

渡月橋の南側、中ノ島地区にある飲食店の店主が振り返る。

「店の様子を見ようと、9月16日の午前3時過ぎに来たのですが、その時点では嵐山はそうすごい雨が降っていたわけではありませんでした。傘を差したまま、自転車に乗って自宅からやって来れたくらいですから。ところが、午前4時を回った頃に店の外に出ると、桂川が急にあふれ、ひざの高さまで水が増してきたんです。その後はあっという間。4時半頃には腰の高さにまでなり、水の流れが激しくて歩くこともままならない。(渡月橋に近接する)渡月小橋はなんとか渡りきったんですが、それ以上は進めず、救急隊の人に助けてもらうはめになりました」

渡月橋上流にある老舗料亭「熊彦 嵐山店」の調理スタッフもこう驚く。

「桂川はたまに氾濫するんですが、それでもだいたい店の前の石階段止まり。それがあっという間に増水して店内にまで水が入ってきたので驚きました。水位? おそらく路面から高さ2mはあったでしょうね。おかげで店内にあった業務用冷蔵庫も中の食材も、すべてダメになってしまいました。被害金額は少なくても数百万円を下りませんね」

台風が京都を襲った翌日の17日、嵐山を歩いてみた。さすがに水は引いていたものの、渡月橋一帯は泥まみれ。「浸水のため、しばらく休業します」という手書きの看板があちこちに目立つ。

店舗の前には、やはり泥だらけの食器やイス、テーブル、畳。その傍らには食材などがごみの山のようになっている。

破損したシャッター、グニャリと曲がったスチール製の街灯などが、台風の威力をまざまざと感じさせる。




京都の観光シーズンは紅葉を迎えるこれからが本番。しかし、これだけ町が破壊されては、客を迎えることもできないのでは?

そう心配して聞いて回ると、意外な答えが。

300名ものキャンセル客が出てしまった温泉旅館「花筏(はないかだ)」の女将、中西美暁さんはこう話す。

「60cmの高さまで床上浸水しましたから、完全復旧には最低でも1ヵ月以上かかります。でも、幸い2階から上は被害がないので、そのフロアを活用し、なんとか1週間後には営業を再開したいと考えています」

えっ、たった1週間? この温泉旅館だけではない。茶店「琴きき茶屋」のご主人も、「(東日本大震災による)東北の被災者に比べたら、こんなんどうってことない。店内には水と一緒に泥が入っただけ。泥をかき出し、消毒さえしっかり済ませたら、次の3連休あたりにでも店を開きたいです」と、やはり1週間後の再開を表明するではないか。

なかには1週間どころか、「明日にでも店をやるつもり」と宣言する飲食店も。渡月橋上流のある和食店の女将がこう語る。

「ウチの自慢は桂川を眺めながら食事ができる川床。今回の豪雨でその一部が流されてしまったけど、ついさっき大工さんが来て修繕してくれた。こうなったら、明日にでも営業できますね」

嵐山青年会の磯橋真二郎会長も力強い。

「地元の若手メンバー約50人が自主的に復旧作業の手伝いに入っています。自分の店だけがきれいになってもダメ。嵐山全体がきれいに復旧して初めて観光客が戻ってきてくれると、みんなわかっているんです」

前出の「花筏」の中西女将によると、「いつも宿泊してくれる大学サークルの学生など、多くのボランティアが泥かき作業を手伝ってくれている」とのこと。

どうやら、嵐山一帯は急スピードで災害復旧が進んでいるようだ。さすが、世界の京都!

もう心配することはない。紅葉が燃え盛る11月よりずっと前に、以前と変わらない嵐山散策を楽しむことができそうだ。

(取材/ボールルーム)

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