専門家が「ギャンブル」と呼ぶ、福島第一原発4号機の核燃料取り出し作業

週プレNEWS / 2013年11月14日 6時0分

原子力技術者のアーニー・ガンダーセン氏。彼が1年半前に警鐘を鳴らしていた核燃料取り出し作業が、いよいよ始まる

福島第一原発4号機の核燃料を回収する作業が、いよいよ目前に迫っている。

原子力技術者のアーニー・ガンダーセン氏は、本誌が2012年春に行なった取材時に、こう警鐘を鳴らしていた。

「4号機プールは地上32メートルの高さにあります。取り出し作業中、燃料を入れたキャスクと呼ばれる専用の輸送容器をクレーンから落とすようなことがあれば、大量の放射性物質が漏れ出て、日本が分断されかねません。首都の東京も壊滅の危機に直面することでしょう。燃料取り出しは危険な“ギャンブル”なのです。1回だけなら、そのリスクに挑戦して成功を収めることができるかもしれません。ただ、取り出し作業は少なくとも50回以上繰り返さないといけない。それだけの回数を連続して成功させる自信は、廃炉の専門家でもある私にもありません」

専門家が“ギャンブル”と言う作業工程とは、どういったものか。説明しよう。

まず、地上32メートルの高さにあるプールの一角に、キャスクと呼ばれる鋼鉄製の輸送容器を沈める。その後、4号機建屋を覆う建屋カバーに設置されたマニピュレーター(燃料取扱機)で、プール内の燃料をクレーンゲームの要領でラックから取り出し、キャスクに詰める。キャスクに収納できる燃料は最大で22本。その総重量は90トンを超える。

燃料の長さは4メートル。プールの深さは15メートルだから、水深11メートル付近に燃料のトップがあることになる。トップにはハンドルと呼ばれる輪がついており、ここにマニピュレーターのフックを引っかけて引き抜かなくてはいけない。ハンドルの位置はコンピューター制御によって数ミリ単位で特定されるとはいえ、水深11メートルでの作業だ。慎重の上にも慎重さが要求される。

そうしてプール内でキャスクに22本の燃料を詰め終えると、今度はやはり建屋カバーに設置された巨大クレーンでつり上げ、平行移動しながら容器仕立てピットへと持ち込まれる。

容器仕立てピットではキャスクのふた閉め作業が行なわれる。完全防護服姿の作業員が鉄製のボルトでふたを締めつけ、キャスクを完全に密閉するのだ。その後、キャスクを再び大型クレーンで地上に下ろし、待機する大型トラックによって近くの共用プールに移送させれば、作業は無事完了となる。

プール内の燃料は1533本。キャスクに収納できるのは22本なので、東電はこの作業を70回繰り返すことになる。

ガンダーセン氏は、最悪の場合、日本が分断されかねないと警告していたが、はたして誇張ではないのか。福島第一原発4号機の原子炉圧力容器設計者で、国会の原発事故調査委員会のメンバーも務めた田中三彦氏は、こう語る。

「4号機プールには通常の原発の2基分以上に相当する1533本もの燃料が入っています。そこに含まれる放射能の量はセシウム137換算で少なくとも広島型原爆の数千発分にもなる。それが希ガス(放射性プルーム)となって漏れ出たら、東日本の広い地域が汚染される。希ガスは東京にも流れてくるでしょうから、そうなったら避難の人々で大混乱になり、首都機能も麻痺しかねません。

ガンダーセン氏が4号機プールの燃料取り出し作業に失敗すれば、日本が東西に分断されるような危機になると警告したとのことですが、最悪のケースを考えるなら、それほど間違ったことを言っているとは思いません」

福島第一原発の復旧作業は、これからが本番を迎える。

(取材/姜 誠)

■週刊プレイボーイ47号「福島第一原発4号機、核燃料取り出し作業の激ヤバな裏側!!」より

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