佐藤優が「普通の人々」に向けた人生の指南書

週プレNEWS / 2013年11月19日 6時0分

『普通の人々』が諦めず、ヤル気を失わず、社会を変えていくためには? 佐藤優が指南する

日本が、そして世界が、大きな変化の流れに直面している「今」という時代をずぶとく生き残るためには何が必要なのか?

“平成のラスプーチン”こと、佐藤優氏が「怒らない」「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断らない」「お金に振り回されない」「あきらめない」「先送りしない」という8つの切り口でわかりやすく、丁寧に語りかける一冊が『人に強くなる極意』だ。佐藤氏に聞いた。

―本書は佐藤優が書いた人生のハウツー本ですが、どのような読者層を想定されたのでしょうか?

「世の中の圧倒的大多数を占める普通の会社員です。僕は『東洋経済』の連載『知の技法、出世の作法』では、上昇志向が強く、『将来は最低でも執行役員を目指す……』みたいな層を相手にしているのに対して、『週刊SPA!』の連載『インテリジェンス人生相談』では、そうした層とは正反対の人たちを対象にしています。

そこで世の中のマジョリティを占める普通の人たち、具体的には『別に管理職になるわけじゃないけれど、今の会社で一生勤め上げたい。でも、役に立たないとバカにされるのは嫌だから、それなりにスキルアップもしたい』と思っている人たちを対象に始めたのがこの本のもとになった『月刊ビッグ・トゥモロー』の連載です」

―実際に読むと、佐藤さんの「伝えたい」という読者に対する真剣な気持ちが伝わってきます。

「僕にはこの先の日本の様子が見えるんです。アベノミクスが成功してもしなくても、新自由主義がどんどんと進み、近い将来、正社員の3分の1は非正規になり、大学を卒業しても就職はできない、老後でひとり当たり3000万円ぐらいは貯蓄が必要な時代が来るのに、それがままならないような時代がやって来るのです。

となると、そういう状況に負けない心構えを今から持っておかないといけない。特に今、30代、40代の人たちはかなり大変なことになるはずです。教養を身につける、知識を身につけるといったことが単なる自己啓発じゃなく、自分を守り、生き残るために必要になってくるのです。

この本はいわゆる『語り本』ですが、編集者やライターと議論を重ね、読者が今、何を求めていて実際に何が役立つのか? 読者が何に興味があり、何がわかりにくいのか……といったことを徹底的に精査し、時間をかけて作りました。章末に紹介している本も読者が最後まで読み切れるもののなかから、できるだけ幅広いセレクトをするように心がけました」




―本書は売れ行きも好調のようですが、ご自身ではその理由がどのへんにあると思いますか?

「ひとつには今『説教本』がブームというのがあると思います。この本の内容の多くも以前は居酒屋で先輩に聞く話だったけれど、そうした世代間コミュニケーションが失われつつあるなかでこうした『説教本』が若い人たちに求められているんだと思います。

これからは日本社会の基盤だった教育の機会均等も失われ、一部の人間が権力を独占する戦前の状況へと近づいてゆくでしょう。

そのなかで『普通の人々』が諦めず、ヤル気を失わず、社会を変えていかなきゃいけない。そのためには友達や仲間、横の連帯が必要です。

しかし、世の中にあふれる『勉強本』や『自己啓発本』の多くは新自由主義の土俵の上に乗っています。それらをうのみにしてしまうと、結果的に自分のクビを絞めることにつながりかねないのです。

今回、僕が目指したのは、そうした本とは一線を画す、人生の指南書なんです」

(取材・文/川喜田 研 撮影/村上庄吾)

●佐藤 優(さとう・まさる)




1960年生まれ、東京都出身。作家、元外務省主任分析官。85年、同志社大学大学院神学研究科修了。『国家の罠』で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』で大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞。近著に『超訳 小説日米戦争』など

■『人に強くなる極意』




青春新書インテリジェンス 880円




主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍していたが背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴され、512日間の拘置所生活を強いられた著者が語り尽くすハウツー本。人間力を強化するための基本技法を8つの視点から披露し、かつ実践的な内容になっている




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