自動車評論家・徳大寺有恒が“車離れ”の進む若者に送る「車のダンディズム」

週プレNEWS / 2013年11月28日 16時0分

「車って女性を相手にするのと似てるよね」と語る徳大寺有恒氏

買うのにも維持するのにも金がかかる、燃費だのエコだのばっかで魅力がない、今どき持ってなくてもデートに困らん……などという理由から、若者の車離れが進む昨今。

だが、そんな理屈ではなく、カーライフがいかに人生を100倍返しで楽しませてくれるかを、各界を代表するカーマニアたちが熱く語ってくれた。自動車評論家・徳大寺有恒(とくだいじ・ありつね)氏が語る車のダンディズムとは?

***

16歳で僕は免許を取って、当時はその年齢でよかったの。学校にも車で通ってね。全校生徒で僕だけだった。

でも、女性には警戒されたよ。変なヤツだなって。モテるどころかアブない印象だったんだな。ただ歩くのが嫌いなだけだったんだけど(笑)。車は楽じゃない? どこでも行けるし、人間の最もフレンドリーな奉仕者(サーバント)だと思うけどね。

それから半世紀以上ずっと乗ってるけど、まさか仕事にするとも思ってなかったな。だけど、ずっと好きだからさ、いまだに。いつの時代も車はやっぱり時代を映す鏡みたいな存在だと思いますよ。

車離れとか言われるけど、都会を離れて地方に行けば依然として大事な存在だよ。デートも行けないし買い物も行けないしってね。ただ、最近は自動車が昔よりモチベーションを与えなくなったのは確かだよな。なんでもそうだけど発達の原動力になってるのは人々の欲望だからさ。特に車はそうだし、その欲望が減りつつあるなと。心配だよね。

エコとか環境に優しいとかもあるけど、やっぱり日本では売れるってことが大事でさ、数字以外の発想はないのかって思うけど。世界中を見れば車は依然として個性的だよ。日本みたいなくだらない同一タイプにならない。ほんと日本人ってアイデアがないよな。

もちろん日本のメーカーだって頑張ってますよ。10社くらいのメーカーが共存して、しかも8割近くが海外で売れてるんだから驚くべきことだぜ。けど、今はアニメとか日本食のほうが認められてる。イギリスは車で世界を制覇しようとしたけど、日本は制覇しなくてもそういう文化で頑張ってほしいね。

やっぱり車って人々の好みを表してるし同一になったら面白くない。実は、世界中で売れる車って、つまらない車なんだ。日本食でもなんでもバリエーションが多様にあって選べるところに楽しみがあるじゃない?

だからクラシックカーが好きな人たちのイベントに行くと驚くほど人がいるよ。みんな苦労して走らせてるけど、文化ってそういうマニアがいる面白さだよな。

そういう好みで人間性もわかるんだ。車が非常に人間的だから。ちょっと機嫌がよくないと、あんまり動いてくんなくなるし(笑)。

僕はほんと、女性的だと思うな。自分の言うことを聞く唯一、一番のモノだと思って人生を過ごしてきたしね。まぁ実際問題、女房だってそんなに言うこと聞かないけどさ(笑)。でも最初は女性と同じで、全部が全部わかって好きになるわけじゃないけどきっかけさえあれば、とても魅力的なモノだよな。

自動車からモノを見ると、世界経済の大事な動きもわかる。歴史を学んでもけっこう面白いよ。カール・ベンツの『自動車と私』って自叙伝なんてほんと面白いぜ。きっかけなんてたくさんあるんだからぜひそれを見つけてほしいね。

自動車はまだ不完全なモノだけど、この10年で革新的な進歩があるはず。言葉を理解して目的地に連れていってくれたり、免許証だっていらなくなるくらい、安全に移動する手段になってほしいよな。

(取材・文/short cut[岡本温子、山本絵理] 撮影/五十嵐和博)

●徳大寺有恒(とくだいじ・ありつね)




自動車評論家。1939年生まれ、東京都出身。自動車評論家の第一人者として活躍、『間違いだらけのクルマ選び』シリーズが大ベストセラーになるなど経済面からの視野も開拓する

■週刊プレイボーイ49号「12P大特集 今こそ“クルマ愛”を語ろう!!」より

週プレNEWS

トピックスRSS

ランキング