“原子力”が特定秘密に指定されると、原発再稼動は政府のやりたい放題

週プレNEWS / 2013年12月16日 16時0分

特定秘密保護法が原発再稼動に与える影響について語る、『原発ホワイトアウト』著者の若杉冽氏

13日に交付した特定秘密保護法。防衛、外交、特定有害活動(スパイなど)の防止、テロ活動防止の4分野の情報のうち、漏洩(ろうえい)すると日本の安全保障に危険をもたらしかねない情報を「特定秘密」に指定し、漏らした国家公務員には懲役10年を課す、というものだ。

特定秘密の指定の妥当性を検証する組織を設置するため、すでに内閣官房に準備室が設けられた。これから1年以内に法は施行される。

法案が国会で審議されているとき、最大の懸念点として識者が挙げていたのが、この特定秘密の指定だ。日本の安全保障に危険をもたらしかねない、という曖昧(あいまい)な定義では、体制の安定のため時の政権に乱用される――、という可能性もある。

その危険性を指摘するのが、作家の若杉冽(わかすぎ・れつ)氏だ。若杉氏は現役の霞ヶ関官僚であり、原発再稼働に奔走する電力会社、政治家、官僚たちの金と利権まみれの実態を“フィクション”という形で暴露した小説『原発ホワイトアウト』の著者である。

特定秘密として狙われる可能性があるのは何か? 若杉氏が語る。

「国会答弁でも明らかですが、原子力の問題が“核物質防護”という理由で特定秘密にされる可能性はある。原発再稼働の問題もそうです。例えば再稼働に関わるある情報が特定秘密に指定され、それを扱えるのは3人に決められたとします。今ある国家公務員の守秘義務違反よりも刑罰が重く、『秘密を漏らしてはいけない』と言われれば、職場でその情報はまったく流通しなくなるでしょう。

もし3人の中に再稼働に賛成の人物がいれば、世の中の批判も無視してブルドーザーのように政策を進めることも可能になる。当然、別の部署からアドバイスを受けるなど、異なる視点から政策を多重チェックすることもできなくなります。行政の質の劣化は避けられないでしょう」

当然、そこに国民の声など届く余地はない。

「小説『原発ホワイトアウト』では間接的に見聞きしたことも書いたわけですが、情報が回ってこなくなれば直接見聞きしたことしか書けなくなる。私が特定秘密取扱者になったらこうした本を書くことも難しくなります」(若杉氏)

つまり、若杉氏のように勇気を持って国民やマスコミに真実を伝えようとする官僚は出てこなくなる。国民生活に直結する再稼働などの政策すら政府や官僚は「ブラックボックス」に包み込み、真実は国民に一切知らせず、あるとき急に政権の思惑で事を進める……。そんな、お先真っ暗な現実が目の前まで迫っている。

(取材/長谷川博一、撮影/村上庄吾)

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