“海自の歌姫”三宅由佳莉3等海曹インタビュー「ステージに立つのはひとりでも、決してひとりきりじゃない」

週プレNEWS / 2014年1月17日 6時0分

「自衛隊の規律は本当に厳しくて。ストレスで声が出なくなったこともありました」と語る三宅由佳莉3等海曹

昨年発売されたアルバムの大ヒットを受け、2013年レコ大企画賞を受賞した海上自衛隊東京音楽隊。

ヴォーカリストとして注目を浴びた「海自の歌姫」三宅由佳莉3等海曹が、週刊プレイボーイのグラビアに挑戦! いったいどんなコなのか? 本人を直撃した!

■ステージではひとりだけど、決してひとりきりじゃない

スタジオに現れた彼女は、華奢な感じの、ごく普通の20代の女性だった。しかし、撮影が始まるとその表情は一瞬にして舞台で人を魅了するヴォーカリストの顔になる。

「小学5年生で合唱団に入り、ステージに立つ楽しみを覚えました。中学の頃、憧れていたのは宝塚(歌劇団)。男役さんカッコいいなあ、自分もこういう歌や演技ができたらいいなあって。歌だけじゃなくてミュージカルもやりたかったので、音楽以外のことも学べる日大藝術学部に進学したんです」

ステージで見せる堂々とした歌いっぷり、そして存在感は、子供の頃から培われてきたものなのだろう。しかし、なぜ自衛隊に就職したのか?

「自衛隊の音楽隊は吹奏楽中心なので、ブラスバンドをやる人にとっては目標とする就職先のひとつなんです。私は歌を仕事にしていきたいという思いで、音楽隊初のヴォーカリスト募集に応募しました」

それでも、自衛隊というと、一般には芸術をやっている人のイメージとは遠い。

「あんまり深く考えていなかったのかもしれません(笑)。自衛隊ってカッコいいなと、パッと決めました」

しかし、自衛官としての生活はカッコいいだけではない。入隊後5ヵ月間はほかの隊員と同様、「教育隊」という組織で自衛官としての基礎的な教育を受ける。カッター(短艇)訓練や、さらに生活全体の規律も叩き込まれる。

「自衛隊ならではの厳しさは、入ってから知りました。体力というより、生活面、規律が一番厳しかった。もともと人見知りなんです。歌で気持ちを表現することはできても、言葉ではうまく言えない、みたいなところもあって。集団に適応するのに時間がかかるタイプなんです。

だから、なかなかなじめなくて、最初の1年間は精神的にものすごくつらかった。逃げ出したいと思ったことも、ストレスで声が出なくなってしまったこともあります」




それでも彼女が踏ん張ることができたのは、同期入隊の仲間の存在だった。

「つらくて我慢できずに泣いてしまったとき、同期も一緒に泣いてくれたんです。もうみんなで泣いちゃって。そのときに、彼女たちも同じように苦しくて涙を流してるんだ、私はひとりじゃない、自分だけが苦しいんじゃない、ということが初めてわかって、一緒だったら頑張れるかもという気持ちになれた。ひとりだけ苦しいのってすごく孤独だし、もしそうだったら頑張りきれなかったと思います」

「ひとりじゃない」。J-POPにありがちな常套句と違い、彼女の場合は、本当に厳しい状況のなかで、心の底から実感した思いだった。

自衛隊生活で自分の「弱さ」に気づいた、とも彼女は言う。東日本大震災後、東北のコンサートで歌う彼女は被災者から絶大な支持を受けたが、それは自衛隊で、他人の弱さ、つらさを理解することができたからなのかもしれない。

「3・11以後、いろいろな方と出会って触れ合うなかで、皆さんの思いが託されているような感じがしました。観客の方と私の気持ちが重なり合ったり共鳴し合ったり、そんなふうに託された気持ちを歌にして表現しているという感じ。ここでもやっぱり思うのは、ステージに立つのはひとりでも、決してひとりきりじゃないという感覚です」

アルバム『祈り~未来への歌声』が、自衛隊音楽隊のCDとしては驚異的なオリコン通算12週1位(クラシックチャート)を記録したのも、彼女のそんな思いの賜物だろう。

■カッコいいと思うのは空手の道着が似合う男性

聴きに来てくれる人々と触れ合う時間が一番楽しいという。

「音楽隊の演奏会では、終わった後にお客さまと隊員が接する機会もあるんですよね。そういったときに声をかけていただいたり、ひと言ありがとうって言ってくれるだけですごくうれしい。来てよかったって思います。

被災地の演奏会の後、涙を浮かべながら、それでも笑顔で力強く握手をしてくださった方がいて、その瞬間、その人のいろいろなことをいっぺんに感じた気がしました。そういう直接的な触れ合いを、もっともっと増やしていきたいと思います」




華奢な体形に見えるが、特技は空手。なんと二段だ。

「好きなタイプというか、カッコいいと思うのは空手の道着が似合う人(笑)。将来、結婚して子供も欲しいけれど、歌は続けたいと思っています。結婚したからこそ、母になったからこそ歌える歌もあるはずだから」

休みの日は、友達と出かけることが多いという。

「ショッピングや食事。私、食べるの大好きなんです!」

と笑う彼女は、きびきびとした活動的な女性に見えるのだが……。

「え? 私、のんびりしてるんですよ。音楽もなしに無音の部屋でぼ~~っとしてるのが好き。そういうときは自分とお話ししてます。口に出さないだけでずっとひとり言を言ってます(笑)」

好きなタレントはローラとふなっしーだと言う。理由は、「元気が出てテンション上がるから」。

海自の「歌姫」は、一筋縄ではとらえきれない、不思議な魅力を持つ女性でもある。

(取材・文/鹿島 潤 撮影/田中秀和『三宅由佳莉] ヘア&メイク/小笠原ゆかこ コーディネート/シーライツ フォルム)

●三宅由佳莉(みやけ・ゆかり)3等海曹




音楽隊で歌を歌う隊員はほかにもいるが、歌を専門とするのは彼女ひとり。「歌を通じてひとりひとりの自衛官と、ひとりひとりの国民の懸け橋になりたい」と言う。CDセールスやレコ大受賞でも話題となった「旬」な27歳だ

■「海自東京音楽隊」とは




自衛隊の中でも音楽演奏を任務とするのが音楽隊。海上自衛隊には、横須賀、呉、佐世保、舞鶴、大湊の各地方隊に編制されている音楽隊のほかに、防衛大臣直轄の東京音楽隊が編成されている。式典、イベント、定期演奏会などのほか、国際親善に貢献するため、海自実習幹部生の遠洋練習航海に同行し、世界中で演奏も行なっている。オリジナル曲の制作やCDレコーディングも活発。震災後は被災地でのコンサートを開催し、被災者に音楽を届ける活動を行なっている

■三宅由佳莉3等海曹のグラビアは、週刊プレイボーイ3・4合併号をチェック!




【http://wpb.shueisha.co.jp/2014/01/05/24108/】

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