加藤嘉一「韓国への対応策を考える上で、『中韓関係』がカギになります!」

週プレNEWS / 2014年1月27日 15時0分

日本への強硬姿勢を深め、中国へ急速に歩み寄る韓国の朴政権。日本はこの“リスク”とどのように向き合っていくべきでしょうか?

前回のコラム(http://wpb.shueisha.co.jp/2014/01/14/24244/)で、「韓国は日本にとって新たなリスクになる」と述べました。そこで気にしておくべきなのが、韓国と中国の関係です。

昨年2月に朴槿恵(パククネ)政権が発足して以来、中韓関係は親密になりつつあります。昨年6月、北京で行なわれた朴大統領と中国・習近平国家主席の首脳会談の席で、中国外務省は朴大統領を「中国人民の老朋友(ラオポンヨウ)」と呼びました。「老朋友」は、親愛する特別な存在に対してのみ使用される呼称です。

市場を見ても、中韓関係はアジアにおいて大きな勢力になっています。2012年の日中間の貿易総額が3336億ドル、前年比3.3%ダウンだったのに対し、中韓は2563億ドルで、前年比4.4%アップ。昨年6月の中韓首脳会談で、朴大統領は「2015年には3000億ドルを目標にする」と語っており、いずれは日中貿易が追い抜かれる可能性も否定できません。

人的な往来にしても、日中間の495万人に対し、中韓間では720万人(12年)。韓国の人口が日本の半分以下であることを考えると、やはり中韓関係の親密さがわかります。

また、竹島と尖閣諸島をめぐる問題は本来まったく別の事案ですが、領土・歴史に関して日本に対し強硬姿勢をとることで、中韓両国は結果的に結束を強めているようにも見える。昨年末の安倍晋三首相による靖国神社参拝も、その賛否は別として、こうした傾向に拍車をかけることは間違いないでしょう。

韓国のこうした中国への歩み寄りは日本のみならず、同盟国であるアメリカにとっても懸念材料になっているはずです。米中のはざまで動き回る韓国のフットワークの軽さは、よく言えば「がむしゃらで、貪欲で、バランス感覚に優れている」ようにも思えますが、ともすれば「品がなく、手段を選ばない」という評価を下され、信用を失ってしまう可能性もある。諸刃(もろは)の剣です。




また、実は中韓両国の民間レベルでは、お互いに対する国民感情は決して良好ではなく、むしろ根深い相互不信がある。中国に9年半住んでいたぼくの経験からいっても、韓国人をよく言う中国人はほとんどいません。中国政府の本音としても、アジアで戦略的に意識している相手はあくまで日本。韓国は経済関係と北朝鮮問題、対日・対米関係において取り込んでおく必要がある国、というレベルの認識でしょう。

こういった事情を踏まえた上で、日本は同じアメリカの同盟国でもある韓国への対応策を練っていく必要があります。日韓、中韓、米中、米韓、日中関係のインタラクション(相互作用)に関する議論を活発に行ない、韓国に対する発信力を強化すべきです。特に“チャイナリスク”に関しては、北東アジア共通の課題として韓国と相互認識を深めていかなければなりません。

安倍首相は1月6日、年頭の会見で記者の質問を受け、「ぜひ、日中首脳会談・日韓首脳会談の場を持ちたい」と語りました。特に韓国は、経済不振や国民の朴政権不信など内政に深刻な問題を抱えており、こちらの“カード”次第で動き方も変わってくるはず。

08年以降毎年行なわれていた日韓首脳会談が昨年は実現しませんでしたが、今年は韓国との関係を洗い直し、日本の国益に資する“大人の外交”を展開すべきだとぼくは考えます。

条件がそろえば、日中韓3ヵ国首脳会談を行ないたい。中韓両国からしてみれば、日本と1対1で首脳会談を行なうよりも国内世論の反発を抑えられ、リスク回避になる。もちろん日本にとっても、両国との関係がこれ以上悪化するのは避けたいところだからです。テーマの目玉は「日中韓FTA(自由貿易協定)」と「北朝鮮を含めた地域の安定」。これ以上に3国が建設的に歩み寄る方法があるというなら、逆に教えて!!

●加藤嘉一(かとう・よしかず)




日本語、中国語、英語でコラムを書く国際コラムニスト。1984年生まれ、静岡県出身。高校卒業後、単身で北京大学へ留学、同大学国際関係学院修士課程修了。2012年8月、約10年間暮らした中国を離れ渡米。現在はハーバード大学アジアセンターフェロー。最新刊『不器用を武器にする41の方法』(サンマーク出版)のほか、『逆転思考 激動の中国、ぼくは駆け抜けた』(小社刊)など著書多数。中国の今後を考えるプロジェクト「加藤嘉一中国研究会」も始動!




http://katoyoshikazu.com/china-study-group/

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