加藤嘉一「沖縄の『ウチナーンチュ意識』が急速に高まってきています!」

週プレNEWS / 2014年2月3日 14時0分

名護市長選では民意が「基地反対」をはっきりと示すなど、沖縄の民族意識・自立意識が高まっています。沖縄の未来を切り拓くカギはどこにあるのでしょうか?

米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾[ぎのわん]市)の辺野古(へのこ)への移設問題が争点となり、76・71%という高い投票率を記録した沖縄県・名護(なご)市長選挙。当選したのは、移設反対派の現職・稲嶺進(いなみねすすすむ)氏でした。

ぼくは彼(か)の地にルーツを持つ人間ではありませんが、「沖縄」に生涯をかけてコミットしていこうと思っています。理由は3つある。まず、風土や人々が好きだから。ふたつ目は、日・米・中をめぐる国際政治の研究をライフワークと位置づける身として、沖縄は地政学的に重要な場所だから。そして3つ目は、物理的にも機能的にも飽和状態にある日本という国にあって、沖縄は経済・安保などあらゆる面に“余白”があり、ポテンシャルに富んだ例外的な存在だからです。

ぼくはこれまで沖縄を3回訪れ、そのたびに現地の政治家、財界人、知識人、学生、活動家などと意見を戦わせてきました。昨年12月には「NAHAマラソン」への出場、「2030年の沖縄観光を考える」というワークショップへの参加を通じて、草の根レベルでの親交を深めました。マラソンのタイムは惨憺(さんたん)たるものでしたが、沿道の方々の温かい応援に感動を覚えました。

第二次世界大戦終了後のアメリカによる占領統治を経て、1972年に沖縄が日本に返還されてから40年余り。現地のメディア関係者の話では、近年になって特に、沖縄の人々の間で「ウチナーンチュ(沖縄人)」であることを誇りに思う意識が高まってきているそうです。実際、地元紙の『沖縄タイムス』は「琉球(りゅうきゅう)の言葉を方言として扱わない」といいますし、ぼくが議論を交わした琉球大学の学生たちも、「私たちウチナーンチュは」という言い方で誇りを表現していました。

昨年5月には、「琉球民族独立総合研究学会」が設立されました。テーマは日本からの独立の可否、ではありません。独立を大前提とした上で、米軍基地を全廃し、世界の国々と友好な関係を築き、平和と希望の島をつくり上げる方法を議論している。“独立”といえば従来は多くの場合、メディアがいたずらに煽(あお)ったり、活動家が票集めのために叫ぶような言葉でしたが、この学会では若い研究者たちが「論理」と「野望」を持って学術的に活動しているということです。

ぼくが見聞きする限り、これらの現象は誰に強制されたわけでもなく、沖縄に一極集中する在日米軍基地への反発をひとつの背景として、自発的に生まれたもの。NAHAマラソンを走っているときも、その息吹(いぶき)を強く感じました。









ただ、“よそ者”としてあえて悪者に徹して言わせていただくと、これだけではまだ、現実的に基地問題を動かすことは難しい。必要なのは、「基地がなくても沖縄はやっていける」という根拠、具体的なアイデアを発信すること。これこそが沖縄の未来を切り拓くカギになる。

例えば観光誘致にしても、現地の人々に「誇れるもの」を聞くと、まず海などの「自然」、次に「食」、そして「人」という回答が多い。いずれも全面的に賛成ですが、一方で“外の視点”から厳しいことを申し上げれば、どれも沖縄にだけ存在するものでは決してありません。

現有資源で差別化できないなら、制度によって優位性を示すしかありません。例えば、沖縄の「消費税ゼロ特区化」なんていうのもひとつのアイデアでしょう。沖縄の特産品はもちろん、日本じゅうから名産品や国産製品を集めてきて、消費税ゼロで売る。地理的にアジアと近い沖縄に国内外から人が集まるのみならず、ダイナミックな政策を実行した日本政府の国際的評価も高まるでしょう。

基地問題とは、「国益」と「利権」と「ウチナーンチュ意識」の複雑な三次方程式です。斬新なアイデアと行動なくしてこれを前向きに解決できるというなら、その方法を逆に教えて!!

●加藤嘉一(かとう・よしかず)




日本語、中国語、英語でコラムを書く国際コラムニスト。1984年生まれ、静岡県出身。高校卒業後、単身で北京大学へ留学、同大学国際関係学院修士課程修了。2012年8月、約10年間暮らした中国を離れ渡米。現在はハーバード大学アジアセンターフェロー。最新刊『不器用を武器にする41の方法』(サンマーク出版)のほか、『逆転思考 激動の中国、ぼくは駆け抜けた』(小社刊)など著書多数。中国の今後を考えるプロジェクト「加藤嘉一中国研究会」も始動!




http://katoyoshikazu.com/china-study-group/

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