憲法改正をせずに集団的自衛権を行使することは可能なのか?

週プレNEWS / 2014年3月25日 6時0分

今、安倍首相がもっとも意気込んでいる政策が、「集団的自衛権の容認」だ。

自国を防衛する権利である「個別的自衛権」に対し、他国が武力攻撃を受けた際、日本も共同で防衛を行なうことを可能にする「集団的自衛権」。安倍首相は、①4月中に首相の私的諮問機関である安保法制懇が報告書を提出、②内閣法制局で原案を作成、③閣議決定、④秋にも自衛隊法改正など関連法の整備というシナリオを描き、できるだけ早く集団的自衛権の行使を容認しようとしている。

だが大前提として、日本には戦争の放棄、交戦権の否定を定めた憲法9条がある。憲法を改正せずに、解釈を変えて集団的自衛権を容認しようとする安倍首相のやり方には、多くの憲法学者から批判が寄せられている。

小林節慶應義塾大学教授もそのひとりだ。

「集団的自衛権を憲法解釈で容認するという安倍政権の手法は、立憲主義の冒涜(ぼうとく)です。首相は昨年、憲法改正手続きのハードルを下げる96条改正に乗り出した。9条改正が難しいので、まずは96条を変えようというやり口はいわば、『裏口入学』のようなものでした。

ところが、今回は改正手続きもせずに、閣議決定だけで憲法解釈を変えようとしている。これは『裏口入学』よりもっと悪質。『抜け道トンネル』を使った憲法泥棒と呼ぶべき卑劣な行為です。私は憲法改正論者ですが、安倍首相のやり方には賛同できない。一憲法学者として強い憤りを感じています」

一内閣が閣議決定だけで憲法解釈を変えることは憲法上、許されない。そう指摘するのは渋谷秀樹立教大学教授だ。

「9条の制約により集団的自衛権は行使できないとの政府解釈は、60年以上も歴代の内閣によって判断され、積み重ねられてきたものです。こうした解釈は憲法に明文化されてはいないものの、憲法規範と同等の効力を持つ『憲法慣習』と見なすべき。その『憲法慣習』を変えるには正規の憲法改正が必要で、一内閣の政策的判断によって変えてしまう行為は明らかな違憲行為です。

安倍首相は国会の答弁で、『政府における憲法解釈の最高責任者は私だ』と、あたかも自分に憲法解釈の権限があるかのように発言しましたが、それは間違っています。憲法解釈の権限を持つのは1位が最高裁、2位が国会で、内閣にはないと解すべきです。安倍首相は立憲主義を理解しているのでしょうか?」

日本の安全を守るため、集団的自衛権はそもそも必須の条件にならないとの声も根強い。前出の小林教授が言う。

「安倍政権が集団的自衛権の行使を認めないと、日本の安全が損なわれると主張するケースを検討してみると、集団的自衛権ではなく、個別的自衛権あるいは警察権によって対応可能なものばかりなのです。安倍首相が本当に日本の国益のために集団的自衛権の行使が必要だと信じるなら、主権者である国民に提起し、その同意を得た上で堂々と憲法改正すべきなのです」

選挙によって選ばれた政権なら、何をしても“民意”というわけではない。安倍首相には、堂々と憲法改正を国民に問うてほしい。

(取材/姜誠、取材協力/川喜田 研)

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