消費増税でも値上げ感を出さない、飲食店の“こっそり値上げ術”

週プレNEWS / 2014年3月26日 6時0分

4月1日の消費増税を目前に、大手飲食チェーンが続々と「価格改定」を発表している。

バラつきが出たのが牛丼業界。4月1日から、吉野家の牛丼並盛は20円値上げされて300円、松屋の牛めし並盛は10円値上げの290円になる。いずれも増税分以上の便乗値上げに踏み切った形だが、すき家は逆に10円値下げの270円。かくして、昨年4月から横並びだった“並盛280円”という牛丼の価格は3つに割れた。

増税時の価格改定には「大きく分けて4つのパターンが想定される」と指摘するのは、『小さな会社・お店のための値上げの技術』の著者、辻井啓作氏だ。

(1)単純に増税分3%を価格に転嫁




(2)コストの高騰を踏まえ、3%以上の便乗値上げに踏み切る




(3)本体価格を値下げして税込み価格を据え置く




(4)税込み価格を値下げする

どれを採用するかは企業の経営判断に委(ゆだ)ねられる。

では、ファミレス業界の動きはどうか? ガストは3月6日にメニュー改定を実施。その目玉になったのが同店の一番人気メニュー「チーズINハンバーグ」の全面リニューアルだ。本体価格は据え置きの499円で、4月1日以降は3%分が転嫁されるが、4種のチーズを使用してクオリティを上げるなど、客にとっての“うまみ”をプラスしている。

手頃な価格のイタリアンでおなじみなサイゼリヤも、299円の「ミラノ風ドリア」など主力商品の価格を据え置く一方で、3%以上の値上げを行なう商品もある。

こうした“こっそり値上げ”の背景を、業界紙記者が明かす。

「メディアで取り上げられやすい店の看板メニューを値下げし、サイドメニューでこっそり値上げして帳尻を合わせる。これは増税転嫁や便乗値上げを極力、消費者に悟らせまいとする、飲食業界の苦肉の策といえます」

なかにはこんなケースもある。ある格安居酒屋チェーン店の店長が打ち明ける。

「ウチの店では『からあげ280円』や『刺盛り980円』など税込み価格で表示しており、“80円プライス”がウリだったんですが、今回は増税3%分をそのまま価格に上乗せするつもりです。ただ税率8%になると、表示価格は『からあげ288円』『刺盛り1008円』となり、割高感が出てしまう。そこで、なるべく値上げをお客さんに意識させない価格表示の方法をひねり出しました。

今回の増税から、総額表示(内税表示)だけでなく、“税抜&税込の併記”が認められたでしょう? これにより『からあげ266円(税抜)』『刺盛り931円(税抜)』という価格表記がアリになったんです。これなら実際の価格は3%分高くなっているんだけど、メニュー上では“80円プライス”と比べても割安感を演出できる。ただ“(税抜)”の文字を小さくしすぎると客からのクレームにつながるので、そのサジ加減には注意しました」

消費者だけでなく、飲食店業界にとっても頭が痛い消費増税。悩みに悩んだ末に編み出した苦肉の策が“こっそり値上げ”だったということだ。

(取材/興山英雄)

■週刊プレイボーイ14号「増税に泣く、飲食&小売店の“こっそり値上げ”術をこっそりバラす!」より

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