若者のバイク離れに反攻、バカ売れ“Ninja250”に見るカワサキの「掴(つか)む力」!

週プレNEWS / 2014年8月26日 6時0分

カワサキが発売した50万円以上もするスポーツバイクがバカ売れ中だ。しかも、“若者のバイク離れ”がいわれて久しいなか、購入者には20、30代の若者や初心者が中心だという。いったい、既存のバイクと何が違うのか?

2013年に大きな躍進を遂げたカワサキ。すべてのカテゴリーを合わせた国内のバイク販売シェアでは長年、ホンダ、ヤマハ、スズキの後塵を拝する「万年4位」の座に甘んじていたが、同年の軽二輪車販売数では、なんと前年比205.4%増。同カテゴリーに限っては、ホンダに次ぐ国内シェア2位に躍り出たのである。

この快挙の主役となったのが、昨年リリースされたNinja250だ。2月からの発売開始にもかかわらず、12月末までに5923台を売り上げ、2013年に日本国内で発売された各社の全バイク(原付二輪を除く)の中のベストセラー・モデルとなった。

1980年代に大流行したレーサーレプリカ(レースで活躍する車両を外見・メカニズムの両面でイメージさせる高性能市販バイク。1980年代に日本の各社がこぞって発売した)を髣髴(ほうふつ)とさせる、やる気満々のフルカウルスタイル。ぱっと見、とても万人受けするモデルとは思えないが、なぜ日本のライダーの心をわしづかみにしたのか?

400cc以下のカテゴリーのみを扱う異色のバイク雑誌『Under400』の谷田貝洋暁編集長が理由を解き明かしてくれた。

「いや、むしろデザインこそが、Ninja250最大の魅力なのです。世代的にレーサーレプリカを知らない今の若い層は、フルカウルのスタイリングに新鮮なカッコよさを感じているんですよ。ウチの編集部にも、『あの見た目にホレて購入しました』という声が多く寄せられています」

しかも同車は、かつてのレーサーレプリカのような行きすぎたハイスペックとは無縁だった。

「ライディングポジションは自然だし、馬力だってほどほどなので、初心者でも無理なく操れる。それでいて街乗りからツーリング、果てはサーキット走行までこなせる懐の深さを持ち合わせています」(谷田貝氏)そんな現代の名車が開発された経緯とはいかなるものか。カワサキのモーターサイクル&エンジンカンパニー・営業一課の山田康弘氏に、Ninja250の大ブレイクへと至る土台を築いた先代モデル、Ninja250R(以下、250R)誕生のいきさつから語ってもらった。

「250Rは日本だけでなく、北米や東南アジアでも販売される世界戦略車として開発され、わが国の市場には2008年に投入されました。日本や北米では主にエントリーユーザー向けでありながら、逆に東南アジアではハイエンドの高級モデルという位置づけなので、徹底したコストダウンで価格を抑える(2008年当時の税込み国内販売価格は49万8000円)一方、上質な作り込みにも気を配りました。

また、エンジンはピーク性能よりも扱いやすさを重視し、デザインに関しては、北米や東南アジアの市場で根強い人気があるフルカウルのスタイルを採用することになったのです」

しかし、当時の日本のバイク業界には、フルカウルの軽二輪車は売れないという“定説”があり、事実、他社のラインアップにはそうしたモデルが久しく途絶えていた。

「ですが、時流にこびず、意欲作を思い切って世に問うのが、カワサキというブランドの昔からのカラー。日本でもフルカウルモデルを売ることに、まったく躊躇(ちゅうちょ)はありませんでした」(山田氏)

結果として250Rは、世界規模の好セールスを記録した。なかでも日本市場では、若い世代からの支持が絶大だった。カワサキ製バイクの日本における販売会社、カワサキモータースジャパンの営業統括部・石田陽太氏がデータで裏づける。

「日本市場での250Rの購入者のうち、20代の方の占める割合が38%、30代の方が27%でした。スポーティなルックスのバイクに対する20、30代の人たちのニーズは、想像以上に大きかったんです。ですから、後継モデルであるNinja250の開発にあたっては、当初から日本の若いライダーへの訴求を意識していました」

加えて、アメリカや東南アジアの250Rユーザーから寄せられた要望も取り入れ、Ninja250はデビューした。そのカワサキの狙いは、特に日本でズバリと当たったのである。

「現在までのところ、日本におけるNinja250購入者の平均年齢は、33.3歳。250Rは34.5歳でしたから、さらに若い層を開拓できたわけです」(石田氏)これには、バイク初心者にしっかり寄り添うカワサキならではの販売チャンネルづくりや、購入後のきめ細かなユーザーケアの功績も見逃せない。

カワサキ製品の取扱店は、競合他社に比べれば数が少ない。もちろん、国内4位という市場占有率の反映でもあるのだが、実はカワサキの側が自身の立ち位置を逆手に取り、あえて店舗数を絞り込む販売戦略を採っているのである。

「ビギナーでも気軽に訪れることのできる顧客対応や店内の清潔感、さらにはバイク展示のレイアウトや、メンテナンスも含めたアフターサービスなど、われわれの販売方針に対応していただけるショップだけを正規取扱店として認定しているので、他社さんに比べると必然的に数は少なくなります。ですが、その分、お客さまにはフレンドリーで質の高いサービスを提供できるのです」(石田氏)

さらにカワサキは、若いユーザー同士が触れ合える機会を全国各地で提供している。

「トークショーやクイズ大会などで楽しんでいただく『カワサキオーナーズU29ミーティング』というイベントなのですが、29歳以下のカどなたでも無料で参加できるので、毎回200人ほどの方々に集まっていただいています。そこで知り合ったライダー同士が愛車の情報交換をしたり、後日、一緒にツーリングに出かけるなんてことも珍しくないんです」(石田氏)

スマホやネットを介して他人とのコミュニケーションを取りがちな時代だからこそ、人と人とが直接触れ合える場の存在が若いライダーを惹きつけ、カワサキやNinja250のファンをますます増やす好循環を生み出しているのだ。

■週刊プレイボーイ36号「“若者のバイク離れ”も関係なし!カワサキNinja250 人気のワケ」より

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