在日イケメンのウクライナ人が見た“再生可能エネルギー推進都市”東京の「今」

週プレNEWS / 2014年9月15日 6時0分

日本滞在暦9年のウクライナ人が体感した“再エネ推進都市”東京の現在とは?

まだ残暑の厳しい9月某日の朝、迷彩柄の帽子と短パン、そして黒いタンクトップにバックパックを背負った青い目のイケメン外国人が東京駅に降り立った―――。

彼の名はミロノブ(21歳)

出身地はバリバリの紛争地帯・ウクライナ東部のドネツク県だ。12歳のときに母と共に祖国を離れ、来日。以降9年間、日本で暮らすウクライナ人である。

争いごとや諍(いさか)いが嫌いで、戦争を憎む平和主義者のミロノブ。しかし、憧れの人物は第2次世界大戦時、ソビエト赤軍から“白い死神”と恐れられた、フィンランド軍の伝説的スナイパー「シモ・ヘイヘ」という生粋(きっすい)のミリオタでもある。

そんなミロノブに課せられた今回のミッションは、東京都の再生可能エネルギーの実情を調査すること。

実は、都は東京の電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合を現在の6%から、オリンピックが開催される2020年までに20%程度まで高めることを目指している。残り6年をきった今、再エネ推進都市・東京の“現在地”はどのあたりなのか。祖国がそれどころじゃない中、ミロノブが青い目を光らせた。

ちなみに今回のミッションで、ミロノブには無駄に重いバックパックとソーラーパネルを背負ってもらった。そういう画が欲しかったという理由だけで。上官の命令は絶対である。

ただし、バッグはアホみたいに重いものの、このソーラーパネル自体の重さはわずか695グラム。ボルシチ大好きガチムチボディのミロノブからすれば、屁でもない重さだ。しかもパネルに付属する蓄電装置はUSB出力を2口持ち、約5時間のフル充電で、スマートフォンを約3.5回分充電してしまうという高スペック。もう、これさえあれば旅先でスマホ充電のためにコンセントを探す必要はなくなるだろう。

そんなこんなで、まずミロノブが向かったのは皇居。

宮内庁は温室効果ガス排出削減のため、皇居内の御所や同庁庁舎など5箇所に発電出力100キロワット分の太陽光パネルを設置している。ステキだ。

そんな、再エネ導入に熱心な宮内庁に敬意を表し、皇居前の公園で体いっぱいソーラーパワーを感じるミロノブ。

なお、東京都では現在、都内の島嶼(とうしょ)部を除いた約260万棟の建物を対象に、太陽光発電に適しているかを検索できる「東京ソーラー屋根台帳」をウェブサイトで公開している。住所を入力するか、地図上で調べたい建物を検索すると、日陰の影響などを考慮し、日射量を算出。日当たりがよく、太陽光発電に適している建物は赤色になるが、台帳によると260万棟のうち40%の約100万棟が赤色と判定されるという。




続いて、向かったのは銀座。






ミロノブの背後にそびえ立つのは、銀座4丁目交差点の三愛ドリームセンタービル。この屋上に設置されているリコーの広告塔がまたすごい。夜になると輝くこの広告塔の電源は、風力や太陽光など100%自然エネルギーでまかなわれているのだ。リコーは、これまでニューヨーク、ロンドン、シドニーに100%自然エネルギーの広告塔を設置しており、8月末から銀座でも同様の取組みを始めたばかり。外部電力を使用しないため天候次第では点灯しない可能性もあるが、同社の発する“メッセージ”は、ミロノブの心にも響いたようだ。

なお、こうも持ち上げるとリコーのステマ記事だと勘違いされる読者もいるかもしれないが、今回の撮影はすべてソニーのデジカメを使用していることをお伝えしておこう。

世界最大の卸売市場・築地。

ついに今年2月末に移転工事が着工し、来年度中には江東区豊洲へと移転する予定の築地市場。移転先の豊洲市場では大規模な太陽光発電施設を導入するなど、環境負荷を減らす施策が講じられる予定だ。新市場に設置が予定されている太陽光発電設備の発電能力は2千キロワット。これは一般家庭約580世帯分の使用量にあたり、新市場の総需要の数%を賄(まかな)える規模だという。

東京スカイツリーは地中熱を利用したヒートポンプを使用している。

東京スカイツリータウンの周辺10.2ヘクタールは、冷温水を活用した共通の冷暖房設備を導入。年間の電力やガスなど一次エネルギー消費量を約44%、二酸化炭素排出量を約48%削減でき、エネルギー効率は国内の熱供給施設で最高レベルである。また、太陽光発電用パネルもスカイツリータウン屋上に計222枚設置されている。

ジャパニーズポップカルチャーの聖地・秋葉原。

秋葉原のドンキで売られていた「中二病」Tシャツを購入&着替え、気持ちを新たにミッションを再開。

ここ秋葉原でも再生可能エネルギーのおもしろスポットがある。




JR秋葉原駅の駅前広場に隣接する秋葉原クロスフィールドにある「サボニウス・ウィンド・タービン」だ。

同地には“サボニウス型”と呼ばれる縦軸回転型風車が3基装備されている。この施設自体で生み出される電力量はごくわずかで、風車の羽についているライトの発光に使用される程度。そもそも、この装置のコンセプトは「この地に流れる様々なエネルギーを呼び寄せ交流を生み出す“文化的発電装置(Cultural Generator)”を象徴するもの」(看板の説明より)。こうした試みも、実に秋葉原らしい発想でステキである。

JR渋谷駅前のスクランブル交差点でポーズを決める中二病患者。

同駅を挟んで反対側にある渋谷ヒカリエには「発電床」が設置されている。

発電床とは、踏んだだけで電気を生み出す装置のこと。施設の利用者が楽しみながら省エネ意識を高められるような仕掛けだ。またヒカリエは、商業施設の一部を除いてほぼすべてにLED(発光ダイオード)照明を採用。高効率空調機器などと併せて電力消費を抑えている。

ここで少し休憩。

ミロノブが背負っていたソーラーシステムでスマホを充電してみよう。

こちらが超クールな蓄電装置。ソーラーパネルで生み出した電気が、この装置に蓄えられているのだ。

ミロノブのiPhoneの待受画面は若かりし頃のレーニン。ステキだ。

こうやって蓄電装置とつなげるとレーニンのおでこに電池マークが。どうやら無事に充電できているようだ。心なしかレーニンもうれしそうである。

渋谷の次にやってきたのは原宿・竹下通り。

「Tシャツに中二病って書いてるよ(笑)」




「こんなところでポーズとって写真撮るなんて田舎モンのすることだよね(笑)」




と、道行くおしゃれキッズにディスられまくられても、氷の表情をキープする“ソルジャー”ミロノブ。ちなみに彼の日本語能力はネイティブレベルなので、心無くディスったキッズはくれぐれも夜道、気をつけておくがよい。

竹下通りの喧騒を離れてやってきたのは、裏原宿「キャットストリート」

ここには26基の「次世代型ハイブリッドLED街路灯」が設置されている。街路灯は太陽光発電パネルでエネルギーをつくり、リチウムイオン電池でエネルギーを蓄える。災害などで停電した際も蓄えた電気で明かりがつくので、なにかと安心だ。

近くに来たついでに、デング熱発生地域として注目の集まる代々木公園を直撃。

門の前にごった返す報道陣を尻目に、敬礼ポーズを決めるミロノブ。ちなみにミロノブによると、彼が採用しているこのポーズは、ウクライナ軍式でもロシア軍式でもなく、アメリカ海軍式らしい。

作戦終了後、アジア最大の歓楽街・新宿歌舞伎町にやってきたミロノブ。

アフリカ系黒人のしつこい客引きを交わしつつ、静かな路地裏のバーへ。

国酒ウォッカを片手に、おもむろに本を開き始めた。

しかし、読書をするにはちょいと照明がムーディすぎる。

そこでミロノブはバッグから「あるグッズ」を取り出した。




小さめのビーチボールのような形状……それに勢いよく空気を入れる。

フゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

ほら、この通り。

実はこれ、持ち運びに便利な再エネグッズ、LEDライト搭載の「エムパワード・インフレータブル・ソーラーランタン」だ。

太陽光でフル充電(約8間)すると、最大で12時間も連続点灯可能。さらに空気を抜くと、わずか厚さ2.5センチにまで折りたたむことができ、しかも重さはたった100グラムしかない。生活防水機能付きで、充電は繰り返しOK。バックパッカーやアウトドア愛好家に人気の商品で、防災備蓄用としても力を発揮するという(なんとフル充電をしておけば、1年放置後も4時間ほど点灯するのだ)。

これは欲しい……。

ミロノブは暗闇での読書時にこれを愛用しているという。つーか、本は明るいとこで読めよ!

なぜか一部ネット上で絶大な人気を誇る“テキサス親父”ことトニー・マラーノ氏の『大正論』を熟読するミロノブ。

東京都によると、都が“拡大策”を講じなければ、目標の「再エネ20%」が達成されるのは2033年になるという。つまり、かなり積極的に導入を促さなければ、2020年までに目標を達成することは難しいのが現実だ。

今後、都は既設物件や駐車場の上部空間などへの太陽光発電の設置、都市型バイオマスの導入拡大、多摩・島しょ地域での地熱や小水力、バイオマス発電の導入を進めるなど、あの手この手を尽くすことを表明している。

現状ではまだまだ厳しいが、東京都がどこまで目標の20%まで近づけられるのか。




今後もミロノブとともに注意深く見守っていきたい。

(取材・文/週プレNEWS編集部)

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