台風シーズン到来、広島並みの豪雨が東京を襲ったら壊滅的“水没都市”に!

週プレNEWS / 2014年9月11日 6時0分

今年の8月は豪雨による被害が相次いだ月だった。これからの台風シーズン、こうした豪雨が首都・東京を直撃したら、一体どこまで耐えられるのか?

「東京は水害に対しては脆弱(ぜいじゃく)な地形だといえます」と指摘するのは、元都庁の土木専門家で土木学会タスクフォース首都圏低平地災害防災検討会座長で、『首都水没』(文春新書)の著作もある土屋信行(つちやのぶゆき)氏だ。

「関東は周囲を山に囲まれ、北西に位置する山裾から南東にある東京湾に向かって傾斜しています。そして、その一番低いところに東京があるのです」

さらに東京は、高度経済成長時の地下水のくみ上げによる地盤沈下で、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区に海抜ゼロメートル地帯が生まれた。なかには4.5m以上沈下した地域もある。つまり、海面や荒川などの水面より、地面のほうが低くなってしまっているのだ。そのため、防波堤を高く積み上げて、この地域を守っている。

「こうした場所に降った雨は海や川には流れていきません。たまり続けてしまいます。そこで、排水ポンプによって水をくみ出すのですが、これは1時間に50mmまでの雨量にしか対応できないんです」(土屋氏)

特に、堤防の決壊による洪水は最も危険だという。

「東日本大震災のときは、津波が押し寄せるまで、30分程度の時間がありました。しかし、ゼロメートル地帯で堤防が決壊すれば、水は一気に流れ込んできます。逃げる時間がありません。その場合、とにかく垂直避難をすることです。近くのマンションなどに入って、3階より上に上ってください」(土屋氏)

だが、ゼロメートル地帯などの低地に住んでいないからといって安心できるわけではない。

筑波大学名誉教授で『地名に隠された「東京津波」』(講談社+α新書)の谷川彰英(たにかわあきひで)氏は、警告を含んでいた昔ながらの地名が意図的に変えられていると前置きした上で、山の手地区の危険性を指摘する。

「例えば、田園調布あたりの台地から多摩川に向かって、土地の高さが急激に下がっているんですが、その西側にある等々力(轟・とどろき)渓谷。昔は、雨水がこの渓谷に集まってきて、轟々(ごうごう)と水音を響かせて流れていたことが容易に想像できます。こうした轟という地名は、全国に例外なく見られ、どれも大規模な土砂災害や周辺山地の崩壊などを引き起こす急流や渓流の地域に名づけられているのです」

山の手の水害の特徴は、土地の急激な高低差によって、雨水が一気に川へと流れ込んでくることだ。大雨のときに道路のマンホールから水が噴き上がるのもこのためだ。

渋谷川沿いの地域も危険域といえます。渋谷川の千駄ヶ谷から渋谷までの区間は川にふたをした暗渠(あんきょ)になっていて、集中豪雨の際には渋谷交差点付近は冠水しやすくなるのです。また、冠水した水が、地下深くへ新設された渋谷駅に流れ込む可能性もあります」(谷川氏)

その名のとおり、道玄坂や宮益坂の“谷”にある渋谷は雨水が一気に流れ込み、水害に遭う危険性は大きいのだ。

そのほか、何度も土手を崩す水害が起きたことを示している『蛇崩(じゃくずれ)』の名前が残る上目黒から下馬(しもうま)にかけて。また、1993年8月に関東地方を襲った台風で冠水した赤坂見附交差点は、まさにかつて“ため池”だった溜池交差点から新橋へと続く外堀通り。そして、急斜面の目白台あたりで地盤が崩壊する可能性もある早稲田地域なども、水害に見舞われる危険性が高いという。

東京は、こうした水害リスクの高さもあり、内閣府・中央防災会議の「大規模水害対策に関する専門調査会」が、平成22年にひとつの報告書をまとめた。

それによると、利根川が氾濫した場合、最大で東京の約4分の1が浸水し、浸水区域内人口は約230万人、死者約6300人となるという。また、利根川、江戸川、荒川が決壊すると要避難者数は約421万人に上り、浸水継続時間は1週間以上にも及ぶ。

さらに、この報告書には「地下鉄等の浸水シミュレーション」も載っている。

南北線の赤羽岩淵駅に近い荒川の右岸堤防が決壊すると、あふれだした水は、11分後に赤羽岩淵駅に到達し、浸水し始める。約2時間後には王子が水没し、約4時間後に町屋、約8時間後に上野、約10時間後に東京にまで到達する。約15時間後には赤坂や六本木なども浸水し、最終的には東京の地下を走る17路線、97駅が水没することになってしまうのだ。

「大江戸線が一番低いところを走っていて、すべての路線を水浸しにする連通管の役割をします。一方、地下鉄には浸水を防ぐ遮断壁がいくつか造られているのですが、電気やガス、下水などの通っている共同溝は遮断できません。そのため、地下を通っている共同溝に水が入ってしまったら洪水を拡大させるだけでなく、停電などの可能性も出てきます」(前出・土屋氏)

これから始まる台風シーズン。もし豪雨に見舞われたら、できるだけここで指摘されたような地下街や地下鉄駅からは離れたほうがいいだろう。

(取材/有賀 訓)

■週刊プレイボーイ38号「豪雨、洪水で都心はここまで水没する! 東京『危険な繁華街』『浸水する地下鉄』」より

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