3年で1000万台と三木谷会長がぶち上げた “格安スマホ”、楽天モバイルに勝算は?

週プレNEWS / 2014年11月13日 6時0分

楽天が格安スマホ事業に参入する。

グループ内の通信子会社フュージョン・コミュニケーションズが、NTTドコモの回線を借りて展開するもので、ブランド名はそのものズバリの「楽天モバイル」。楽天市場を通じて、台湾エイスース社製のスマホとSIMカードを販売開始した。

気になる内容だが、端末は「ZenFone5」(2万6400円)というミドルクラスの機種で、無料通話アプリ「バイバー」と、格安通話アプリ「楽天でんわ」があらかじめインストールされている。そしてSIMカードは、基本料金と2.1GBまでのパケット通信がついて、月額1600円。楽天でんわでの30分の通話と組み合わせれば2200円となり、大手キャリアの約3分の1に抑えられるという。

楽天の三木谷浩史会長兼社長はこの新サービスに自信満々で、発表会見では「3、4年で1000万台の販売を目標にする」とぶち上げた。しかし、1000万台といえば、先行する格安スマホのライバル各社が掲げる目標の10倍規模の数字。本当にこんな途方もない台数を売れるのだろうか? ITジャーナリストの石川温(つつむ)氏が言う。

「まず達成は不可能でしょうね。三木谷氏は、楽天グループが日本国内に抱えている9400万人超の会員に営業攻勢をかければ十分勝算ありと考えているようですが、実店舗がなくネットのみでの販売というのは大きなハンデです。楽天市場のユーザーであっても、ネットでスマホとSIMを購入することには抵抗を感じる人が大多数のはず。今春、イオンの格安スマホがそれなりに売れたのも、近所のイオンで手軽に買える点がウケたわけですから」携帯電話ライターの佐野正弘氏も、前途は厳しいとみる。

「大手キャリアの顧客数に比べれば、格安スマホの市場規模はまだまだ微々たるものです。加えてここ数年、日本の若いユーザーがキャリアを乗り換えるほぼ唯一の理由は『iPhone購入のため』。iPhone人気はそれほど圧倒的なのです。いくら通信料が安いとはいえ、日本ではなじみの薄いメーカーの端末に食指が動くユーザーが果たしてどれだけいるか」

また、大きくアピールしている安さにしても絶対的なアドバンテージではない。

「確かにSIMの基本料金は、現時点で格安スマホ界の最安値レベル。しかし早晩、ライバルたちも同じような価格に引き下げてくるはずです。通話料金にしても、仕事で毎月長時間の通話をする人なら大手キャリアの定額話し放題プランのほうが安上がりでしょうし」(石川氏)

そして格安スマホに共通の、サポート体制への不安もある。

「買った後で何かトラブルがあった場合、最寄りの店舗に持ち込むことができません。特に、楽天モバイルがメインターゲットのひとつにしている高齢者層は対面でのサポートを望む傾向にありますからね」(佐野氏)

結局のところ、楽天モバイルに勝機はない?

「同社のスマホを持てば、割引や特別ポイントなど楽天グループのサービスがお得に利用できるなどの特典を明確に示せれば、楽天会員を中心にある程度の顧客を獲得できるかもしれません。それでも大手キャリアを脅かす存在とまではいかないでしょうが」(石川氏)

大風呂敷を広げず、まずは着実に“格安スマホ界での勝ち組”を目指すところから始めたほうがよさそうだ。

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