占領された島を奪還せよ! 日本版海兵隊・陸自西普連の訓練に密着して見えたフルシナリオ

週プレNEWS / 2014年11月23日 6時0分

離島奪還作戦の先兵として活躍が期待される通称・スカウトと呼ばれる陸自隊員

尖閣(せんかく)諸島を含む南西諸島の防衛を目的として、近い将来、陸上自衛隊に「水陸両用部隊」が創設される。この部隊の基盤となるのが、米軍の海兵隊を参考にして2002年に創設された西部方面普通科連隊【西普連(せいふれん)】だ。

10月末の「相浦駐屯地(あいのうらちゅうとんち)創立59周年記念行事」の訓練展示で明らかになった、「離島奪還作戦」のフルシナリオを紹介しよう。

訓練の状況設定は“日本のとある離島に敵国軍が不法上陸し、陣地を構築して占拠中”。“日本版海兵隊”はどうやって島を奪い返すのか?

実際の奪還作戦は夜明け前に敢行される。潜入作戦の先兵となるのは、偵察員である「スカウト」。野戦用ブーニーハットをかぶり、ヘリやボートから飛び込んで海を泳ぎ、最初に島に上陸して敵情を偵察する遠泳のスペシャリストだ。

彼らは、上陸した瞬間、軍用小銃を持った歩兵となる。その姿は、まさに両生類のような自衛隊の“新種”。米軍の海兵隊を参考につくられる「水陸機動団」を体現する存在だ。

「スカウト」が上陸地点を確保し、沖合へ向けてフィンを左右に振ると、それは次なる一手の合図。潜入ボートで島に乗り込むのは、暗視装置のついた強化プラスチック製ヘルメットをかぶったレンジャー隊員だ。彼らの得意とする野戦環境下での隠密行動なくして、敵陣への接近や制圧態勢の構築はおぼつかない。

そして、その後に次々と上陸してくるのは、敵陣への本格的な攻撃・突入を担当する陸戦要員たち。彼らは防弾機能を持つ88式鉄帽を装着している。このように、頭にかぶっている装備ひとつを見ても、さまざまな役割の隊員たちが見事なコンビネーションを展開していることがわかるはずだ。

そのほか、島の奪還を実現するには、海上自衛隊や航空自衛隊との連携も不可欠。あらゆる統合運用の要(かなめ)となる西普連の隊員たちには、多くのスキルと知識が要求されるのだ。






【上画像】ゴムボートによる水路潜入、ヘリコプターを利用した離島間の移動(ヘリボーン)など、離島防衛に特化した特殊能力を持つ隊員たち【下画像】隊員たちのパッチは、荒波とパドルを表現した「水路潜入徽章」、下のダイヤモンドマークは「レンジャー徽章」。ともに厳しい訓練を経て与えられる









STEP1 上陸・潜入・偵察

【001】ゴムボートで潜入部隊が島へ









先に泳いで上陸していた「スカウト」の合図を受け、沖合から全速で島へ向かう潜入ボート。89式小銃を構え、敵の襲撃に備える

【002】スカウト」が上陸地点を確保!









周囲を警戒し、潜入ボートの上陸地点を慎重に確保する「スカウト」の偵察小隊。彼らの体つきはまるで長距離水泳選手のようだ

【003】偵察ヘリが上空から状況把握









沖合の海上自衛隊艦隊を発艦した国産偵察ヘリOH-1(通称・ニンジャ)も空から敵陣地を偵察。情報は潜入部隊と艦隊で共有する









STEP2 重火力により前進

【004】沖合の護衛艦からLCACが発艦→上陸









偵察ヘリに続き、砲兵、大砲、戦車を搭載した揚陸艇LCACが海自艦隊から発艦。潜入ボートが確保した上陸地点に揚陸する

【005】大砲で敵陣を攻撃









揚陸された野戦特科隊が、155mm榴弾砲(FH70)を次々と発射。最大射程20km以上、重さ約40kgの砲弾が最速で5秒に1発放たれ、敵陣に打撃を与える

【006】戦車が砲撃しながら前進









同じく揚陸された74式戦車が前進し、西普連の潜入部隊を近接支援。105mm砲を敵陣に叩き込んでダメージを与えつつ、12.7mm重機関銃で援護射撃を行なう









STEP3 敵陣へ肉薄

【007】オスプレイで制圧本隊が上陸









着陸地点を確保できたところで、海自艦隊を発艦したオスプレイが降着。対戦車無反動砲、迫撃砲で重武装した部隊が敵陣へ向かう

【008】攻撃ヘリが敵陣を掃射









海自の護衛艦DDHを発艦した攻撃ヘリAH―64D(通称・アパッチ)が、30mm機関砲で敵陣を掃射。陸上部隊を上空から支援する

【009】爆破チューブで敵陣を破壊









障害物を除去できるM1爆薬筒を抱えた隊員が、敵の射撃をかいくぐって敵陣に肉薄。爆薬筒を鉄条網に突っ込み、突撃の邪魔になる障害物を爆破する









STEP4 敵陣へ突入→制圧!

【010】制圧本隊が敵陣へ突撃









爆薬筒で開けた敵陣への突入路から、制圧本隊が89式小銃を発砲しながら突撃。一気に散開し、横陣をつくって態勢を整える

【011】後方からも射撃でサポート









手前側に展開しているのは重武装小隊。84mm無反動砲、9mm拳銃、89式小銃、分隊支援火器で攻撃の手をゆるめず突入組を援護する

【012】敵陣制圧、任務完了!









写真の重武装小隊が担ぐ84mm無反動砲は、厚さ50cmの鉄板を貫通する威力。爆発後は800個から1100個の鋼球が爆散して敵を襲う

*作戦の全貌を図解するために、一部、過去の訓練の写真(【001】【004】【007】)を使用しています

(取材・文/小峯隆生 撮影/柿谷哲也)

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