客に衝動買いさせるペットビジネス、ブームに隠された闇とは!

週プレNEWS / 2014年11月26日 6時0分

いまさらながらペットブームである。もともと動物好きな国民ではあるが、ペット生活に癒やされ、至福の喜びとする人が周りにも多数いるはずだ。

だが、そのブームの影で、売れ残ったペットが大量に殺処分されているという現実からも目を背けることはできない。ペット業界に精通するジャーナリストの太田匡彦(おおた・まさひこ)氏が現状を訴える。

■たった10日間の違いで客に衝動買いさせる?

―2008年から“犬の殺処分”について取材を続けているそうですが、そもそもなぜこの分野を取り上げようと?

太田 もともと動物好きでしたし、両親が獣医師免許を持っていることもあって、いつかは記事にしたいと思っていたんです。ただ、「こんなかわいそうな犬がいます。大事にしましょう」みたいな記事を書いてもキリがないなと。なので、犬を売る“ペットビジネス”の取材を始めたんです。そこでわかったのが、ペットショップとそこに売る繁殖業者こそが大量に犬を捨てているという事実でした。

―犬を売る側が……。でも、どこに捨てていたんですか?

太田 保健所などの行政機関に売れ残ったりした犬を引き取ってもらっていたんです。ただ、昨年9月に改正動物愛護管理法が施行されたことにより自治体は業者からの引き取りを拒否できるようになりました。

―それなら、悪質な業者も減りそうですね!

太田 いや、売れ残った犬を“不良在庫”として抱えている状況は変わっていません。日本のペットショップって、ビジネスの形態としては「小売業」なんです。商品を大量に仕入れて「これだけ品ぞろえがあります」と“在庫の魅力”をウリにするのが特徴です。でも、すべて売れる小売業は存在しません。絶対に在庫処分が生まれるんです。

―では、今も“賞味期限切れ”で処分されていると……?

太田 行政に引き取ってもらえなくなったので、隠れて捨てる業者が増えている蓋然性(がいぜんせい)が高い。よけいに“闇”が深くなったと考えられますね。




―じゃあ、その状況を変えるにはどうすれば?

太田 生き物を取り扱うビジネスが小売業であることがそもそもの間違いなんです。飼いたいなら、まず動物愛護団体や自治体からの譲渡を選択肢に入れてほしい。犬種などにこだわりがあるなら、せめてブリーダーから直接購入することを検討する。

ペットショップは消費者がブリーダーを選ぶ手助けをする仲介業になって手数料を取る形にすれば、みんなハッピーになれます。もちろんブリーダーでも休みなく妊娠をさせているような悪質なところはダメですけど。

―なるほど、ペットを買う側もショップやブリーダーを見極める力が必要なんですね。

太田 ただ、ショップがどんな業者から仕入れているかを知るのは難しいです。たいていペットオークションを介して買い付けているからです。どうしてもショップで買うのなら、十分に説明してくれるお店を選び、売られているペットの“年齢”をチェックしてください。

犬では、生後8週(56日)が経過する前に生まれた環境から引き離すと「精神的な外傷を負う」ということが獣医学上の研究で明らかになっています。今の日本の法律では、生後45日を経過したら販売できるようになっていますが、本当に犬のことを考えているブリーダーやショップは、生後8週未満の子犬は売りません。

―そんな、わずか10日の差が重要なんですね!

太田 犬は生後1ヵ月で人間の1歳分、2ヵ月で3歳分と急成長します。そんな時期の10日の違いは大きい。別の観点からいえば、生後8週を超えると、ヌイグルミみたいにかわいかった子犬に硬い毛が生え始め、鼻や手足も長くなります。要するに、衝動買いしたくなる対象ではなくなってくる。

かわいい子犬を売ろうとするショップと、それを衝動買いする消費者。そんなペットビジネスのあり方を変える必要があるんです!

―ペットビジネスの闇に加担しないためには、ペットを飼う側も賢くならないとですね!

(取材・文・撮影/short cut[岡本温子、山本絵理])

●太田匡彦(おおた・まさひこ)




朝日新聞社・メディアラボ主査。2001 年に朝日新聞社入社後、経済部記者として流通業界などの取材を担当。2010 年に『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(朝日新聞出版)を執筆。個人的にも愛犬家で柴犬と暮らしている

■週刊プレイボーイ49号「13P大特集 俺にもできる!幸せなペット生活」より(本誌では、ペット生活のタイプ別向き不向きからペットビジネス最前線まで総力取材!)

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