食ツウが教える「コロッケそば」の味わい方【マッキー牧元の世界味しらべぇ】

しらべぇ / 2014年12月22日 6時0分

コロッケそばを前に、久々の対面に、私は問うた。

「お前はなにゆえに存在しているのか」

いったい、誰が発明し、この世に生を受けたのか。

「コロッケも天ぷらと同じ揚げもんだし、のせちまえ」

コロッケをかけそばにのせるという勇断は、こんな他愛もない思い付きから始まったのかもしれない。そこで食べてみたらケッコウいけていて「俺って天才かも」と、一人錯覚し、酔ってしまったのであろう。

しかし、コロッケである。てんぷらや海苔、かまぼこや鶏肉とは、わけが違う。フランス人が、入谷でおでん屋を開いているようなものではある。わけがわからない。無理がある。クロケットとしてフランスに生まれ、日本で姿を変えて愛された彼は、まさか自分が“かけそば”の上にのせられようとは、微塵にも思わなかったに違いない。数奇な人生である。

しらべぇ1222そば6※画像はクロケット(wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88 より)

だが考えてみよう。芋の甘みはつゆと合わず、パン粉の衣も醤油と合わない。コロッケはつゆを吸って、本来の魅力である歯触りをなくし、別の物体へと変化していく。

いかにしてコロッケそばをおいしく食べるべきか、その研究結果が以下である。実食は、コロッケそば発祥とされる、「箱根そば」ではなく、中野「かさい」で実施した。

いざ実食

①運ばれたら、直ちにそばの下へ、コロッケを収納する。

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②コロッケそばを頼んだことを忘れ、自分が頼んだのはかけそばだと信じ込んで食べ進む。

③そばを食べている間、間違ってもコロッケには箸をつけない。

④やがて丼の底から現れるコロッケとの再会を喜ぶ。

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⑤コロッケを四等分する。

⑥コロッケをさらに突き崩し、つゆに溶け込ますよう試みる。

⑦残すつゆの量は、コロッケ1に対し、つゆ3が好ましい。

⑧つゆとコロッケを同時にすする。

⑨別技として、玉子を注文し、黄身を最後までつぶさないようにそばを食べる。最後に黄身をつぶし、コロッケと絡める(ここで七味を大量にかける「韓国式」もある)。

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⑩また腹に余裕があれば、4等分した内、ふた切れをおかずにして、別注したおにぎりを食べてもよい。

⑪番外。コロッケ二個技もあり。その際、1個はそのまま、1個は「黄身ソース」か「韓国式」で楽しむ。

以上手順を示した。

では次にメリットをあげてみる。

①立ち食いそば屋のコロッケは、つゆが滲んでも崩れぬよう固く作ってあるので、食べにくい。ゆえにつゆを染み込ませる。

②つぶしたコロッケとそばつゆとの、思いもかけぬマリアージュが楽しめる。

③丼の底から、忘れていたコロッケが現れ、二重の食べる喜びを享受できる。

④形あるコロッケを、いたぶる喜び。

どうだろう。実はこの食べ方には様々な真理が隠されているのです。それゆえ僕は、今日も丼の底に隠して、最後に悠然と食べ(隣人の視線は気にはなるけどね)、一人悦に入るのである。

(文/マッキー牧元 http://sirabee.com/author/mackey_makimoto/ )

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