【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】日本語の美しさと「目玉焼き」のザックリさの謎

しらべぇ / 2015年1月8日 18時0分

しらべぇ読者の皆様、あけましておめでとうございます、黒田勇樹です。新年早々がっつり妄想していこうと思うので、今年もよろしくお願い致します。

このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。

「日本語は美しい」

よく聞くこのフレーズ。本当にそうなのでしょうか?

様々な言葉の成り立ちや、由来について考えてきたこの連載、新年1発目の今回はこれについて検証したいと思います。日本語の美しさを検証するためにはどうすればいいのか?やはり外国語との比較をしていくべきでしょう。

言葉の「輸出入」

「カワイイ」や「オタク」など、「輸出」された言葉は日本語の響きを残している傾向が多いように見受けられます。

面白いのは「ニンテンドーネック(肩こりのこと)」。肩こりをしなかったアメリカ人たちが、ファミコンをしたことで初めて肩こりを体験し、この様に呼び出したということ。

「ハードネック」とか「ショルダーペイン」と呼ばず、ファミコンのメーカー名を冠して「ニンテンドーネック」。「美しい」とまでは思いませんが、実にエスプリのきいた「お洒落」な「言葉の輸入(翻訳)」ではないでしょうか?

日本で一番美しい輸入

翻訳という作業を「言葉の輸出入」として考えたときに、最も「美しい輸入」は、言わずもがな、文豪・夏目漱石先生の「I LOVE YOU」を「今夜は月が綺麗ですね」と、翻訳された逸話。

信ぴょう性については都市伝説レベルという説もありますが、「あなたを愛しています」という言葉を、月の美しさと重ねて表現したとしたら、もうそれは本当に「日本語が美しい」ことの証拠として確かなものだと思われます。

そして、この翻訳を「美しい」と思える日本人こそ、綺麗な言葉を使っている民族なのではないでしょうか?

月と太陽

しかし、検証をする時に重要なのが「反証」。筆者には「絶対に輸入に失敗した」と疑っている日本語がひとつあります。それは、「目玉焼き」。英語では「サニーサイドアップ」。玉子の黄身を太陽に見立て「サニーサイド(晴れている方を)」「アップ(上に)」。

お洒落じゃないか! 美しいじゃないか!

しかもこれは片面焼きの時だけで、晴れている方が上ではなくなる両面焼きは「ターンオーバー(ひっくり返す)」と呼ぶそうです。それを日本人は、片面焼きだろうと両面焼きだろうと「目玉焼き」。

確かに見た目、目玉みたいだけど、ざっくりすぎるだろ!

しらべぇ0108黒田2Photo by tosa muu https://www.flickr.com/photos/tosa_muu/15127125572

目玉焼きは、フライパンとともに欧米から伝来した調理方法らしく、確実にサニーサイドアップから翻訳しているはずなのですが、せめて「天晴れ焼き」とか「お日様の玉子」とかお洒落に翻訳できなかったのでしょうか?

多分、英語のわからない料理人が、身振り手振りで調理法だけ伝授され「うん、目玉みたいだな。目玉焼きだ」とネーミングしたとかそういうことなんでしょうが…。

国ごとの言葉の美しさもさることながら、「翻訳する人」にも言葉の美しさは左右されるようです。興味深いので「言葉の輸出入」については、これからもしっかりと、考察していきたいと思います。

海外伝来の料理を、漱石や宮沢賢治など、日本の文豪たちが翻訳していたら日本の食文化はどうなっていたんだろう? という、ちょっと夢のある考察でした。

(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹 http://sirabee.com/author/yuuki_kuroda/ )

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