社長に「貢物」を献上する決まりのまるで独裁国家 家族経営のブラック企業がヤバすぎる

しらべぇ / 2018年8月3日 7時0分

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(Studio-Annika/iStock/Thinkstock)

家族経営の会社というと、一見アットホームな印象もあるが、ひとつ間違うと法律よりも「家のルール」が優先するブラック企業に陥る恐れも。

GPSを使って残業時間の証拠を自動で記録できるスマホアプリ『残業証拠レコーダー』を開発した日本リーガルネットワーク社には、そんな家族経営系のブラック企業エピソードも寄せられた。

■ブラック企業からブラック企業に転職

ブラック企業に縁が深いというSORAさんは、現在もかなりヤバい会社に勤務している。

「給与遅配が11ヶ月も続いた会社の次に勤めた会社も、まさかのブラック企業…。引きの強さには自分でもびっくりします。とあるアパレル企業におりますが、よくある親族経営(社長の奥様が副社長、社長のお父様が会長、社長のお兄さまが役員)という経営状況です。

本部勤めのスタッフの昼ごはんは必ず、社長と一緒。昼からビールや熱燗を飲まされ、そのランチにかかる時間は約2時間。お酒の強いスタッフでも夕方まで使いものにならないほど普通に飲まされています」

■有給ナシのまるで「独裁国家」

また、法律で定められているはずの有給休暇も、なぜか取得することができないようだ。

「有給休暇は基本なし。法律に触れているかどうかはお構いなく、たとえば風邪をひいて病欠をしてしまった場合は、同月内の土日(土日祝はカレンダー通り休み)に代わりの出勤をしなくてはなりません。もし出勤ができない場合は、給料が日割り計算になり、休んだ分の日給が次の給料支払い時にマイナスされます(笑)」

さらに、中元・歳暮についても謎ルールが…。

「盆暮れ正月には、お中元とお歳暮を贈るのも暗黙のルール。年長の先輩から時期が近づくと指示され、それぞれが貢物を送らなくてはなりません。まるで、隣の国のような絶対君主制が引かれています。

今すぐにでも辞めたいのですが、辞表何枚提出してもシュレッダーにかけられてしまいます。労基署にいくべきかどうか、真剣に悩んでいる今日この頃です」

■弁護士の見解は…

早野述久弁護士(©ニュースサイトしらべぇ)

こうしたケースに対して、鎧橋総合法律事務所の早野述久弁護士は警鐘を鳴らす。

早野弁護士:親族経営の会社の場合、経営一族が王様のように君臨し、労基法等の法令を遵守していないということが比較的多くあります。

こういう会社の場合、経営陣が合理性を無視した行動をとりがちですが、SORAさんの会社でもランチで社員にアルコールを飲ませるという会社自身にとっても何らメリットのない行動が公然と行われていたようで、これはブラック企業の兆候といえるでしょう。

また、有給の取得を妨害すると罰則が適用される可能性も。

早野弁護士:有給休暇は基本なしということですが、労働者は、原則として有給休暇を自由に取得することができ、会社が有給休暇を取得する日の変更を求めることができるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に限られています(労働基準法39条5項)。

風邪をひいた社員に有給休暇をとらせずに給料を天引きする行為は、労基法39条違反となる可能性が高いでしょう。

労基法39条違反には刑罰が定められており、このように会社が有給休暇の取得を妨害した場合には、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます(労基法119条1号)。

■退職は労働者の自由

また、「退職届がシュレッダーにかけられてしまう」というのも問題だという。

早野弁護士:辞表を何枚提出してもシュレッダーにかけられてしまうということですが、労働者は退職の自由が保障されています。

雇用期間の定めがない場合(いわゆる正社員の場合)には、原則として退職日の2週間前に退職の意思表示をすればよく(民法627条1項)、月給制の場合には、退職日の前月の前半までに退職の意思表示をすれば、自由に退職することができます(民法627条2項)。

また、退職の意思表示は、口頭でも可能ですし、退職の意思表示をしたことの証拠を残したい場合であっても、必ずしも辞表で行う必要はなく、ご自身の上司にメールで退職する旨伝えておけば十分です。


(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク

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