鍵穴のような形の暗い空洞、ハッブルが撮影した反射星雲「NGC 1999」
sorae.jp / 2022年10月25日 21時5分
こちらは、約1350光年先にある「オリオン座」の反射星雲「NGC 1999」です。反射星雲とは、ガスや塵の集まりである分子雲が恒星の光を反射することで輝いて見える星雲のこと。電離したガスの光で輝く輝線星雲とは異なるタイプの星雲です。
NGC 1999の場合は、中央付近に写っている若い星「オリオン座V380星(V380 Orionis)」からの光が反射されています。欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 1999を構成するガスや塵は、オリオン座V380星の形成時に余った物質だといいます。
注目は、NGC 1999の中央付近に見える暗い部分です。ESAはその形から「Cosmic Keyhole(宇宙の鍵穴)」と表現しています。
2000年に「ハッブル」宇宙望遠鏡によって撮影されたNGC 1999の画像が公開された当時、この部分は「ボック・グロビュール(Bok globule)」だと考えられていました。ボック・グロビュールはHII領域に見られる暗黒星雲で、ガスや塵などが高い密度で集まった比較的小さな分子雲です。塵を含む高密度の分子雲が可視光線を遮ったことで、このように暗く見えているのではないかと思われたのです。
関連:赤い光の海に浮かぶ若い星々と暗黒の雲、“ケンタウルス座”の輝線星雲
ところがその後、ESAが運用していた「ハーシェル」宇宙望遠鏡を使って赤外線の波長でNGC 1999を観測したところ、この部分は見た目通りの空洞であることが2010年に明らかになりました。NGC 1999の空洞は、この領域で誕生した若い星からのジェットや放射によって形成された可能性があるようです。
冒頭の画像はかつてハッブル宇宙望遠鏡に搭載されていた「広域惑星カメラ2(WFPC2)」と、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するパラナル天文台(チリ)の「VLTサーベイ望遠鏡(VST)」に搭載されている広角カメラ「OmegaCAM」を使って取得された画像(可視光線のフィルター合計6種類を使用)をもとに作成されたもので、ESAからハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として2022年10月24日付で公開されています。
関連:オリオン座の“ハービッグ・ハロー天体”「HH 1」と「HH 2」
Source
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, K. Noll ESA/Hubble - Cosmic Keyhole文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
緻密で柔らかそうな印象の渦巻銀河「NGC 2090」 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2024年11月25日 21時46分
-
どこかに写っている超新星 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した棒渦巻銀河「NGC 1672」
sorae.jp / 2024年11月6日 21時47分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影 2021年と2023年に超新星が見つかった渦巻銀河「NGC 4414」
sorae.jp / 2024年11月2日 18時41分
-
じーっと見つめる目のような相互作用銀河 ハロウィンにあわせNASAやESAが紹介
sorae.jp / 2024年11月1日 16時58分
-
ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した小マゼラン雲の散開星団「NGC 602」
sorae.jp / 2024年10月28日 20時57分
ランキング
-
1「運転する夫に『間違えてばっかり!』と怒鳴ったら、路肩に急停止。怖くて大ゲンカしましたが、私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!?「お前が運転しろ」「料理してる時に言われたらどうする」の声も
くるまのニュース / 2024年11月26日 12時10分
-
2ダイソーで販売「グミ」に回収命令……「深くお詫び」 使用不認可の着色料を使用、5万7000袋を回収
ねとらぼ / 2024年11月26日 18時1分
-
3風邪の初期症状の正しい理解と市販薬の使い方を知る…「ひき始めに服用する」わずか4%
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月26日 9時26分
-
4究極に美味しい「たらこスパゲティ」の作り方。コツは1つだけ:11月に読みたい記事
女子SPA! / 2024年11月26日 8時44分
-
5「50代でモテている男性」3つの特徴。見た目が渋くてカッコいい「イケオジ」じゃなくてOK
日刊SPA! / 2024年11月26日 15時52分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください