1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. 環境・自然・科学

赤い閃光の正体は? NASAが設立した市民科学プロジェクトが謎多き現象の解明に乗り出す

sorae.jp / 2022年11月10日 17時5分

spritacular_project

【▲スプライトの情報を収集する市民科学プロジェクト「Spritacular.org」のトップページ(Credit: Spritacular.org)】

新星・超新星や彗星といった突発的に出現する天体や現象の捜索・発見ではプロだけでなくアマチュア天文家も活躍しており、論文誌に掲載されたりニュースで取り上げられたりしています。こうした一般市民による科学活動は市民科学(シチズンサイエンス)と呼ばれ、天文学を含めた科学の発展に貢献することがあります。

関連: 天の川で10000個の新しい変光星を発見 市民天文学の活躍と期待

このような市民科学のプロジェクトを、アメリカ航空宇宙局(NASA)が新たに立ち上げました。プロジェクトの名は「スプライタキュラ(Spritacular)」です。スプライタキュラとは、「閃光」を意味する「Sprite」と、「~っぽい」を意味する「-tacular」を組み合わせて作られた造語。同プロジェクトは、落雷の際に高度約80km(約50マイル)で発生する「スプライト(レッドスプライト)」と呼ばれる「超高層雷放電(Transient Luminous Event: TLE)」の観測データを集めることが目的だといいます。

関連: スプライトの発生過程を捉えた毎秒100,000コマの高速度撮影動画

過去20年間で、高品質なカメラの価格はますます手頃になり、大気中で発生する迫力のある現象を記録するツールが、より多くの一般人にとって身近なものになったといいます。こうした背景をもとに、すでにスプライトを積極的に追い求めているコミュニティだけでなく、これから同現象についてより多くのことを学びたいと考えている人や、大気中や宇宙空間における電気現象の研究者といった人々の架け橋になるべく、同プロジェクトが設立された模様です。

テレビカメラのテスト中に偶然撮影された「スプライト」

スプライトは、落雷後に発生する赤色の閃光として発生する発光現象です。さまざまな形状を取るために、「散乱した羽毛」や「らせん状の巻きひげ」などと形容されるようです。同現象の最初の報告は19世紀後半まで遡り、1989年には米国ミネソタ大学の研究者が低光量テレビカメラのテスト中に偶然スプライトを撮影しました。それ以来研究が進められていますが、スプライトの発生頻度や発生条件、どうしてさまざまな形状をとりうるのかなど、多くの疑問が解決していない状況にあるといいます。

red_sprite

【▲2021年12月4日にギリシャ・アテネ郊外で撮影されたスプライト(Credit: Thanasis Papathanasiou)】

スプライタキュラ・プロジェクトの当面の目的は、撮影されたスプライトのデータベースを作成することです。もし、あなたがスプライトを撮影し、研究に協力したいと考えているのであれば、スプライタキュラのプロジェクトページでアカウントを作成して、撮影した写真を提出しましょう。写真は科学者によるレビューや提出者との協議を経た後に、提出者を共同著者として論文に掲載されるとのことです。

 

Source

Image Credit: Thanasis Papathanasiou NASA - Spritacular: NASA’s New Citizen Science Project to Capture Elusive Upper Atmospheric Electrical Phenomena on Camera Spritacular.org doi: 10.1126/science.249.4964.48 - Television image of a large upward electrical discharge above a thunderstorm system doi: 10.1038/033319a0 - Meteorological Phenomena

文/Misato Kadono

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください