まるで糸クズ。ハッブルが捉えた大マゼラン雲の超新星残骸
sorae.jp / 2022年12月2日 21時38分
こちらは「かじき座」の方向約16万光年先にある超新星残骸「DEM L 190」です。DEM L 190は天の川銀河の伴銀河(衛星銀河)のひとつ「大マゼラン雲」(大マゼラン銀河)にあります。フィラメント状や薄い層状のガスが入り組んだ、複雑な構造をしていることがわかります。
超新星残骸とは、太陽の8倍以上重い大質量星による超新星爆発が起こった後に観測される天体のこと。超新星爆発にともなって発生した衝撃波が周囲へ広がり、ガスを加熱することで可視光線やX線といった電磁波が放射されています。欧州宇宙機関(ESA)によると、DEM L 190は大マゼラン雲で最も明るい超新星残骸だといいます。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡に1993年から2009年まで搭載されていた「広域惑星カメラ2(WFPC2)」を使って取得された画像をもとに作成されました。ハッブル宇宙望遠鏡によるDEM L 190の観測データは、超新星残骸と星間物質の相互作用や、DEM L 190に潜む軟ガンマ線リピーター(※)を特定する研究に役立てられたといいます。WFPC2で取得されたDEM L 190の画像は19年前の2003年7月にも公開されていますが、今回の画像には追加のデータと改良された画像処理技術が用いられたとのことです。
※…ガンマ線やX線のバースト放出を不規則に繰り返す中性子星(マグネター)
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2022年11月28日付で公開されています。
関連:ほ座にある壮大な超新星残骸の姿、あなたは何に見える?
Source
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, S. Kulkarni, Y. Chu ESA/Hubble - Revisiting a Celestial Fireworks Display文/松村武宏
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